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気晴らし細論

大概は聞き流すけど、たまたま気になった劇中曲の話

まいど、こんばんは。

映画を観ていると、「この曲はなんだ!?」となることがごくまれにあります(音楽に集中して鑑賞している人はもっと頻繁にあるのかも)。

なんかうまい具合に琴線に触れるんでしょうね。そんな劇中曲について、本日は三つほどお話したいと思います。




アウトバーン(2016)

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ドイツの高速道路(アウトバーン)を爆走してカーチェイスして爆発しまくる映画。おまけに出てくる車はことごとく高級車。その割にストーリーはB級。車好きにはいろんな意味でたまらない映画なのではないでしょうか。私はあまり車に興味がないので、単純に、すげえなあ、と思いました。

ヒロインのジュリエット役のフェリシティ・ジョーンズの金髪がなかなかいけてます。とてもかわいい。

さて、本題に入ります。
この作品の中で気になったのは、序盤、主人公とヒロインが出会うクラブのシーンで流れている曲です。こちら。↓





Nyko『Elektron』です。
これはEDMってやつに分類されるんですかね?

この曲が爆音で流れる中、二人は顔を寄せ合って会話します。
主人公であるケイシーがジュリエットをナンパするんですが、彼女はナンパの仕方(声のかけ方)が気に入らず、やり直しさせます(そんなことする時点で気があると言っているようなもの)。ちょっとぎこちない会話がスリリングでおもしろい。

また、ケイシー役のニコラス・ホルトがチャラい役やってるのもおもしろいんですよ。彼はどことなく品があって、おぼっちゃまっぽい感じなので、とにかくがんばってる感がすごい。

そして、個人的にはこのシーンのポイントがもうひとつあります。
役者本人たちは二人ともイギリス人ですが、この作品ではアメリカ人設定です。当然アメリカ英語(以下、米語とする)を話します。そして物語の舞台はドイツ。
ケイシーは「アメリカ人同士がドイツで出会うなんてすごくない?」とナンパの常套句を披露する。いや、君らイギリス人だけどな。

イギリス英語では「Thank you」の発音は「タンキュー」に近いのですが、ケイシーはもちろん米語式に、思いきり「テンキュー」と言っています(ここでもがんばってる感)。全体的にフェリシティの米語のほうが自然な気がする。

このクラブのシーン、音楽と二人の会話と言語のちぐはぐ感が好きで五回くらい巻き戻した。




マジック・マイクXXL(2015)

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チャニング・テイタムが男性ストリッパー役をやっているお話の二作目です。
仕事や家事に疲れている女性のみなさん、これを観ましょう。裸祭りです。一作目のマジック・マイクのほうが露出度は高めかと思われます。

私が気になったのは、本業は家具デザイナー兼職人である主人公が、作業中にラジオから流れてきた音楽にノって思わず踊り出してしまうシーン。まさにそのシーンの動画があるので、とりあえずご覧ください。




どうでしょう。めちゃくちゃかっこよくないですか??
たぶんここがこの映画のハイライトです(おい)。一曲まるまるとは言わないまでも、お願いだからAメロ〜サビくらいまでは踊ってほしい。

彼のダンスは若干ポッピンっぽい感じでしょうか。動く歩道に乗っているような、なめらかな動きがすごい。

曲はGinuwine『Pony』





1996年発表の曲で、当時大流行したとか。劇中のラジオでも、次はヒップホップ黄金期のこの曲、というように紹介されています。

以下、サビの歌詞です。

If you're horny, let’s do it
Ride it, my pony
My saddle’s waiting
Come and jamp on it

私の拙い英語力で察するに下線部の歌詞は「俺のサドルが待ってる」となるわけですが、合ってますかね? これってそういう意味でいいんですよね?(爆笑)




キル・ユア・ダーリン(2013)

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ビートニク文学を代表する詩人アレン・ギンズバーグの学生時代の実話をもとにした作品です。

ビート・ジェネレーション(ビートニク文学)についてはこちら↓
http://ja.wikipedia.org/wiki/ビート・ジェネレーション
をご参照ください。

ダニエル・ラドクリフとデイン・デハーンのホモが観れるってことで、ヒーハー!した人がいたとかいないとか。しかしこの作品は、日本では劇場公開されませんでした。加えて「史上最も美しく危うい殺人事件」というくそダサいコピーで宣伝されているので、一度DVDを手に取っても棚に戻す人が多いような気がしてならない。

結構扱き下ろされてるレビューを目にするんですが、個人的には大好きなんです、この作品。
セリフがおしゃれ。音楽がおしゃれ。演出もおしゃれ。
この作品については、たぶん今後、何度も話すことになると思います。

では音楽の話に参ります。

ダニエル・ラドクリフ演じるアレンと、デイン・デハーン演じるルシアンが出会うシーン。大学の寮の自室で勉強していたアレンの耳に、どこからか音楽が聞こえてきます。その音の出所を追ってたどり着いたのが、他でもないルシアンの部屋です。いくら壁が薄いとしてもそんなことある?

流れている音楽は、ブラームスの『交響曲第三番第三楽章』。アレンはルシアンに「ブラームス?」と訊ねます。ルシアンはこの質問に答えません。代わりに発した言葉がこれ。

ルシアン「Finally.(やっと現れたか)」

いやあ、すごい。
待ち望んでましたよ、というわけでしょ?
実は二人は互いにその姿を目撃して存在を認識してはいるのですが、顔を合わせるのはこのシーンが初めてです。果たしてそのことを指しているのか、ルシアンの真意はちょっと測りかねるんですけど、まあこんなこと言われたら誰でも勘違いしますよ。アレンに同情する。この後、二人が交わす一連の会話もすごくエモくていい。

しかも、このブラームスにはちゃんと伏線があるのです。恥ずかしながら、私は5、6回観てようやく気づきました。

主人公アレンの母親は精神を病んでいて、統合失調症気味です。作品のド冒頭、アレンは不安定な母を落ち着かせるためにレコードをかけ、子供をあやすような感じで母にやさしく寄り添います。
この時アレンがかけたのが、ブラームス『交響曲第三番第三楽章』。流れるの、ほんの一瞬です。いやあ、すごい。

ブラームス『交響曲第三番第三楽章』




前述しましたが、キル・ユア・ダーリンで使われている音楽はどれも良いです。秋の夜長に聴きたい。


この曲もおすすめ。




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