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気晴らし細論

ミネイロンの惨劇よりマシとか思ってる薄っぺらい人生 『花束みたいな恋をした』


どうも、こんにちは。

大ヒットを記録した話題作を興味本意で観てみました。



花束みたいな恋をした(2021)

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終電を逃したことから偶然出会った大学生の山音麦(菅田将暉)と八谷絹(有村架純)は、映画や音楽の趣味が似ていたことから瞬く間に恋に落ちます。同棲を始め、大学を卒業した後も仲良く過ごしていた二人でしたが、やがて社会人となりすれ違いが増えていきます。



麦&絹とドンピシャ同世代のわたくしの感想。

しょーもな。

小説、映画、お笑い芸人、音楽、ゲーム、服、ありえんほど趣味が一致して運命感じちゃうのも無理ないけど、そんな相手と付き合うなんて絶対ろくなことにならないからやめたほうがいいよ。自分と同じ人を見つけて安心しただけなので、お互いのどこに魅力を感じたかとか、どこが好きかとか、一切語られないしまあ薄っぺらい。だって、グーグルのストリートビューに自分が載ったことを自慢する男と、圧迫面接に心折れて彼氏に慰めてもらって就職断念する女だぜ。冒頭のイヤホンのくだりとかも自分の意見じゃないんすよ。人から言われたことをそのまま受け売りしてるだけ。自分のない薄っぺらい二人。

そんなわけで私は終始ローテンションで観ていたのですが、一個ブチ切れた部分があります。

物語の序盤、二人が出会う前のことです。絹ちゃんが「惨めな思いをした時には、2014年サッカーW杯の準決勝で開催国ブラジルがドイツ相手に7点取られて惨敗した時のブラジル国民よりマシと思うことにしている」的なことを言う場面があります。おや、絹ちゃんってサッカー好きな感じ? にわかに上昇する絹ちゃんへの好感度。しかし、この時感じた絹ちゃんへの好感度は後ほど急降下していくのです。

なぜならサブカル好きの麦&絹が小説や映画や音楽の話をしているシーンは山ほどありますが、京王線沿いの、FC東京のホームである味の素スタジアムがある飛田給の近くに住んでいるにも関わらず、サッカー関連の話はまったく出てきません。それはつまりサッカーなんて興味がないということだろう。それどころか絹ちゃんはスポーツ全般に興味がなさそう。絹ちゃんよ、君はサッカーのルールとかちゃんとわかってるかい? もしわからないタイプの人ならば、ブラジルの悲劇を軽々しく持ち出さないでくれるかい?

サッカー好きな人が、あのブラジルの、通称「ミネイロンの惨劇」と呼ばれるものを引き合いに出して、あれよりマシというのならわかる。だってあれは本当にショッキングだったから。笑い話にできるようなものじゃないし、自分を奮い立たせるためのおまじないとして念じるのは効果があると思う。しかしあれをSNSか何かで見て知った程度の知識で言ってるのだとしたらマジ喧嘩案件。やるか? お? かかってこい?

途中でほんの少し登場する加持さん(オダギリジョー)もサッカーの話をしてたので、脚本家の坂元さんはサッカーが好きなのかもしれない。だから絹ちゃんのセリフにも引用したのかもしれない。麦くんも「ミネイロンの惨劇」について知ってたし、むしろ絹ちゃんより詳しかったし、でもそれならやっぱり麦&絹でサッカー観戦してるシーンがあってもよくないか? もし二人が特にサッカー好きでもないのに聞きかじった浅い知識でサッカーの話をする輩ということで人間性の薄っぺらさを表現しているということなら、坂元さんすごいです。絶妙に腹立つ種類の人間をうまく描いています。

ドラマ『最高の離婚』や『カルテット』、『大豆田とわ子と三人の元夫』などに代表される丁々発止の会話劇が真骨頂の坂元節は、本作では控えめだった印象。唯一、麦くんのセリフ「好きな言葉は「バールのようなもの」です」はおもしろかったです。



なお、個人的に坂元作品では『大豆田とわ子と三人の元夫』が最高傑作だと思っています。作品の何もかもがおしゃれ。始まった瞬間から終わる瞬間まですべてがおしゃれ。あれは総合芸術。

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