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気晴らし細論

改めて観返したら剣心の大人の余裕がすごかった


どうも、こんにちは。

私がずっと楽しみに待っていた『るろうに剣心 最終章』二部作の公開がいよいよ迫っております。というわけでウォーミングアップとして過去三作を観返してみたので、本日はそのお話をば。

今更言うまでもないことですが、映画『るろうに剣心』シリーズは、漫画『るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚-』を原作として作られた実写映画です。基本的に漫画のキャラクターというのはビジュアルも設定も個性が強すぎるので、それを映画にするとなれば尺の問題もあっていちいち丁寧に描いていられません。志々雄の十本刀が半分くらいは名前すら出てきてないのも仕方ないことでしょう。でも映画を観ただけでは宗次郎すらもわりと意味わかんないし、御庭番衆なんてかなり端折られてて蒼紫はただ抜刀斎を探して壮絶な親子喧嘩した人にしか見えないし、原作も履修済みの身としては首を傾げざるをえない。

だから映画『るろ剣』はアクションを観る作品として割り切るのが一番いい楽しみ方です。そして佐藤健のポニーテールと着物を楽しむ作品です。異論は認めません。要するに佐藤健さえ剣心に見えれば他は何でもいいのよ。そして佐藤健の剣心シンクロは非常にすばらしいのよ。神速と言われる剣心の身のこなしを見事に体現した身体能力もさることながら、人斬りとして幕末の動乱をくぐり抜けた男の余裕と悲哀を、一作目からきっちりと見せてくれています。そのすばらしさを一際感じたシーンをご紹介したいと思います。

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一作目の序盤にて、鵜堂刃衛(吉川晃司)に斬られかけた薫(武井咲)を剣心が助けた後のシーン。薫は剣術道場の師範代なので自分の身は自分で守れると思っていますが、刃衛は剣心と同様に幕末を生きた本物の人斬りです。つまり薫はめちゃめちゃ危険なところを剣心に救ってもらったということになります。というか薫は刃衛に腕を切られているのでマジで間一髪です。そして一作目の時点で剣心は28歳、薫は確か16、7歳なので10歳以上の歳の差があります。それを踏まえての次の会話。

薫「お礼は言うけど、別に助けてもらわなくたって平気だったから」

剣心「(微笑む)早く手当をしたほうがいいでござるよ」

え、もうすでに剣心の余裕やばない?

剣心が助けなければ確実に死んでいた薫のあからさまな強がりも笑って受け流しています。嫁入り前の若い女が刀傷を負ったという事実にも慌てることなく、手当をしてあげようと甲斐甲斐しく世話を焼くこともない。だって、生きるか死ぬかの瀬戸際で戦ってきた人斬りなんだもん。浅い切り傷ごときでガタガタ言うわけがないんだわ。

その後、二人は神谷道場にて薫の父が開いた神谷活心流について話します。刃衛が神谷活心流を騙って辻斬りをするせいで神谷道場には人が寄り付かなくなってしまい、薫は怒り心頭に発しています。

薫「元々小さな流派なんだけど、それでも死んだ父を慕ってたくさんの人がここで稽古をしていたの。だけど半年前、抜刀斎騒動が始まって、今ではご覧の通り。一刻も早く奴の凶行を止めないと」

剣心「よしたほうがいいでござるよ。あの男は薫殿よりも遥かに強い。自他の力量を素直に認めるのも剣客の大事な資質。次にやり合えばどうなるかくらい自ずとわかろう。流儀の威信なんて、命をかけて守るほど重いものではござらんよ」

薫「剣は人を殺すための道具にあらず。人を活かす剣を理想とする神谷活心流が殺人剣に汚されるとは。たかがるろうに風情に、この悔しさはわからないわよ!」

なあみんな、剣心のすごさ、わかる?

かつて幕臣たちに恐れられた伝説の人斬りが、町の小さな道場の師範代でしかない一回りも歳下の小娘をひとりの剣客として認めつつ、しかし犯人成敗に逸れば痛い目を見るからやめておけとたしなめてるわけです。「剣は人を殺すための道具にあらず」なんて、本物の戦場を見たこともないであろうお嬢様が何をぬるいことを言っているんだと笑ってしまいそうなところですが、これも決して馬鹿にしない。話し方も終始穏やかでやさしい。

剣心「ま、どのみちその傷じゃ夜回りは無理でござるな。亡き父上殿も、娘の命を代償にしてまで流儀を守ることを望んだりはしないでござろう」

なんたる大人の余裕。

最後に小声でさらっと「失敬」と言って道場を後にするのですが、その一言に「君が流儀を守りたい気持ちもわかるけど死んだら元も子もないよ。命のほうが大事だよ。それだけわかってほしい。るろうにがいろいろ口出しして悪かった。ではこれにて失礼」っていうのがぎゅっと詰まっているように思える。薫のことを尊重しながら説教くさくならずにアドバイスし、暴言を吐かれても怒らない。雨にも負けず、風にも負けず、雪にも夏の暑さにも負けぬ丈夫な体を持ち、欲はなく、決して怒らず、いつも静かに笑っている精神的成熟を感じる。だって28歳なんだもの。

シリーズの締めくくりとなる6/4公開予定の『るろうに剣心 最終章 The Beginning』は剣心の人斬り時代に遡って語られる物語なわけですが、上記の一連のやりとりがその人斬り時代から約10年を経ていろいろ考えてきた剣心から出た言葉や態度だと思うと、一層感じ入るものがある。一作目を制作した時にはシリーズ化も不透明だったろうに、結果的にうまいことまとめたよね。すごい。そして一作目の時点で剣心が経験してきた人生のその深みを表現していた佐藤健、改めてすごい。来週末(4/30)に金曜ロードショーで一作目が放送されるみたいなので、みんな、ぜひこの道場のシーンに注目して観てくれよな。



さて、一作目の撮影開始からこの10年間でたくさんのアクション経験やノウハウを蓄えてきた佐藤健が、最後の最後で満を持して演じる人斬り抜刀斎(すみません。The Beginningの撮影時はまだシリーズ開始から7、8年くらいしか経ってないですね)。どんなものかと期待していた中、予告映像も解禁されちゃって、もうドキドキが止まんないよね。だってそもそも私は剣心の抜刀斎時代のビジュアルが一番好きなんだもん。高い位置でポニーテールしてるから。 先日「教えてもらう前と後」で流れた本編映像にてお披露目された抜刀術がまさに目にも止まらぬ速さだったもんで鳥肌が立ってしまいました。しかしできればこれは劇場の大スクリーンでお初にお目にかかり、「見えない」衝撃を劇場で体感したかった気もする。すでに何度も見返してしまっている。

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