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気晴らし細論

2020年04月の記事

中国人マフィアが韓国語ペラペラな理由 『毒戦 BELIEVER』


どうも、こんにちは。

前回、映画の話減るかもって言ったくせに映画の話します。本日はこちらの作品。



毒戦 BELIEVER(2018)

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麻薬取締局の刑事ウォノ(チョ・ジヌン)は、巨大な麻薬組織を率いる通称・イ先生を追っていますが、まったく手掛かりがつかめずにいます。しかしある日、イ先生の管理下にある麻薬製造工場が爆破され、そこでラク(リュ・ジュンヨル)という生存者を発見。ウォノは組織に見捨てられたラクと組み、潜入捜査を開始します。



最近韓国映画が多めでジャンル偏っててごめんねごめんねなんですけど、本作に関してはぜひ発信しておきたいことがあったのです。

作中に登場する中国人の麻薬密売マフィアはなぜ韓国語がペラペラなのか。

これおそらく「なんで?」って思う人が結構いると思うのですが、私が軽くネットサーフィンをした限りでは明確に答えを書いているサイトがありませんでした。というわけで、素朴な疑問を抱いた方のために、純粋に映画を楽しみたい人がより作品に入り込めるように、私が答えを言おうじゃないか。差し出がましいかもしれないけれどもまあ言うのはただなので。

中国の麻薬密売マフィアのハリムとその妻は流暢に韓国語を話します。韓国と取引してるから韓国語勉強して話せるようになったのかなとか、もともと韓国出身の人が中国でビジネスやってるのかなとか、そんな風に思うかもしれませんが両方違います。彼らは中国人だし、健気に勉強したわけでもないと思います。ではなぜ韓国語を話せるのかというと、おそらく朝鮮族だからです。中国の北東部(黒竜江省、吉林省、遼寧省)には朝鮮族が多く住んでいます。先祖のルーツが朝鮮半島にあるってことですね。ハリムは吉林省で幅をきかせてる売人なので、そこの人間で韓国語を話せるならまあ朝鮮族だと思って差し支えないでしょう。

朝鮮族の人たちは学校(朝鮮人学校に通う場合もある)や会社で中国語を話す傍ら、家族や親戚など身内のコミュニティの中では日常的に韓国語(朝鮮語)を話すそうです。街の標識や看板には中国語と一緒に韓国語の表記があったりもするそうです。私も以前仕事で遼寧省の大連の方々と話したことがありますが、その人たちも朝鮮族で、みんな日常的に中国語・韓国語を使い、なおかつ日本と取引してるってことで日本語もわかるトリリンガルの人もいました。びっくりよね。

中国人なのになぜ韓国語がペラペラなのかというのは、自分で勉強したんじゃね? ていうかフィクションだしそういう設定じゃね?(みんなフランス人設定のはずなのに英語話してたりするもんな)って感じでスルーされてしまいそうな些細な部分ですが、作り手はそういうところにもこだわって設定を決めてるはずだし、細部にこそ魂は宿るというじゃないか。ぶっちゃけストーリーの大筋にはまったく関係ないから別に答えがはっきりしなくたって構わないんだけど、わかるとより作品の世界が楽しめる。そういうのが映画の中には意外とたくさんある。

映画はDVD化・配信化されてしまえば好きなところで止めたり巻き戻したりできるけど、大前提は映画館で観るものとして作られるわけじゃないですか。映画館では「ちょっとタンマ」ができない。スタートしたら終わりへひたすら進むのみだから、作中で説明されない部分は自分の持ってる知識と想像力で補わないといけない。つまり受け手としての能力が試されるわけだ。

ただ「お前はこれがわかるか? わかるやつだけついてこい!」みたいなあまりにも行きすぎた作品はうざったいだけで私はあんまり好きじゃないんですけど、結局は映画を楽しむにもある程度の教養が必要だということです。これは映画に限らず、ドラマを観るにも、ゲームをやるにも、漫画・小説を読むにも、音楽を聴くにも、絵画を鑑賞するにも、何につけても言えることです。その作品に関わる知識、バックグラウンドとか歴史とかそういうものがわかってるのとわかってないのとでは受ける印象も楽しみ方もかなり変わってくる。芸術に関しては感じ方は人それぞれっていうのは確かにその通りですが、基礎知識がなくて20%しか理解してない状態での感想って、そんなの的外れなことしか言えないに決まってるもん。



最後に、くだんの中国人マフィアのハリムを演じてるキム・ジュヒョクの迫力な。『コンフィデンシャル/共助』(2017)の時も凄みがものすごくてかっこよかったし、交通事故で亡くなっちゃったんだけど、もっと観たかったな。とても残念。

高所でひとりSASUKE 『スカイスクレイパー』


どうも、こんにちは。

こんなご時世なので映画館は休みだし、緊急事態宣言の前から新作は次々公開延期になってるし、DVDもなかなか迂闊に借りに行けないし、動画配信サービスはたくさんあれど、取り扱ってる作品数が少ないので私は利用してません。古いのから新しいのまで網羅してるのはやっぱりツタヤなのよ。最近は観たい作品がマニアックすぎてツタヤにもなかったりする。もはやDVD化されてないとか、そういう段階に来ています。その一方で、観たいNetflix作品が溜まってきてもいます。もう少し溜まったら会員登録してイッキ見しようかなって思ってます。

つまり何が言いたいかっていうと、記事のネタがありません。死活問題。とりあえず本日は、ツッコミながら楽しむタイプの作品でひとつそこそこおもしろいのがあったのでご紹介します。



スカイスクレイパー(2018)

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かつてFBIに所属していたウィル(ドウェイン・ジョンソン)は、ある事件で左足を失う大怪我を負って辞職します。その後、危機管理コンサルタントとして再スタートを切り、香港に建設された世界最大のビル「ザ・パール」のセキュリティチェックを任されることに。しかし、何者かによってビル内で火災が発生。ビルに取り残された家族のため、決死の救出に向かいます。



腕の力だけでロープを登ったりとか、地上数百メートルで雲梯の進化版みたいなやつにぶら下がったりとか、お父さんが家族を助けるために高所でひとりSASUKEに挑み、完全制覇する話です。すごく金をかけたB級アクション映画って感じ。高所恐怖症の方は観ないことをおすすめします。

義足だから体重のかけ方を間違えてバランス崩して落ちるんじゃないかとか変な心配してしまうんだけど、義足でそのジャンプ力はおかしいだろうという場面があるかと思えば、パコッと義足をはずして飛び道具的に使ってみたり、義足の設定が都合よく使われています。ロック様ともなれば片足(の膝から下)がないことなど何のハンデでもなく、むしろサイボーグさながらにパワーアップしているのです。身体障害者などではないのです。

あとは単純に足を使わないステージが多いのよな。ロック様はあの巨体を腕だけで支えるのやばくないか。血管ブチ切れそう。ていうか前から思ってたけど、SASUKEって上半身の筋肉をいじめる障害物多くない?

まあロック様が逞しいのは一目瞭然ですけれども、それに負けないくらい奥さんが逞しすぎてため息が出ちゃう。奥様は元軍医なので医療知識はもちろんのこと、緊急時の動き方もわきまえてるし、格闘もばっちこい。高所に架けられた不安定な板を息子を抱えて渡る度胸と筋力もあり、地上最強のママです。ちょっと『スピード』(1994)のサンドラ・ブロックがよぎった。



というわけで、これからしばらく更新頻度が落ちると思います。また映画以外の話が多くなると思いますが悪しからず。

できるかな〜やないねん! 強い気持ちでやるねん! っていう話 『ミッドナイト・ランナー』


どうも、こんにちは。

以前少しだけ話題に出したことがありましたが、日本でもまもなくリメイクドラマが放送されるこちらの作品をご紹介。



ミッドナイト・ランナー(2017)

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警察学校に通う学生2人がたまたま少女拉致の現場に出くわし、警察に通報するも取り合ってもらえず、このままだとあの子が危ない! ってんで、なけなしの知識を総動員して自分たちで捜査を始める青春痛快アクションムービーです。

前半はバディ2人の軽快でアホなやりとりにニヤニヤしてたのに、拉致事件の実態が見えてくるとクソ重でさすが韓国っすね、となりました。韓国映画で犯罪の絡む作品は見事に全部エグい。社会の闇か。血を見ないと気が済まないみたいなところあるよね。ちなみに余談ですけれども、周りの映画好きがみんなこぞって『スウィング・キッズ』(2018)がめちゃくちゃよかったというのでうきうきしながら観に行ったんです。想像よりゴリゴリの戦争モノで『ジョーカー』(2019)観た時の20倍くらい精神が削られました。韓国映画まじこわい。

さて話を戻しまして、『ミッドナイト・ランナー』の日本版リメイクドラマはSexyZoneのケンティーこと中島健人と、King & Princeの平野紫耀が主演でしょ。ごめん一個言わしてくれ。ジャニーズはダメよ。ジャニーズを否定してんじゃないのよ。だって私は最近ジャニーズが好きだし。しかしこれに関してはジャニーズじゃダメよ。しかもよりによって今をときめくキラキラの2人。ケンティーに関しては公式で王子様キャラやってる。クソ重展開をどうすんねん。

2時間足らずの映画を連続ドラマ化するならエピソードを足すのは確実だし、いろいろ地上波放送に耐えうる感じに薄めるんだろうけど、それじゃあ『ミッドナイト・ランナー』のよさも薄まるってもんよ。不器用な青年が目の前で起きてる酷い事件に気持ちだけでぶつかっていくのがアツいのにな。強い気持ちで!(©さや香 新山)だから日本でやるなら伊藤健太郎とか工藤阿須加とかなんだよな。ケンティー&平野だと、どうしても歌って踊ってキメてる姿がよぎってしまうんだよな。もしそれを我々によぎらせない手腕が2人にあるならお手並み拝見と行こうじゃないか(何様だよ)。

だって私のお気に入りのシーンは2つともアホ極まってるんだもん。例えば、主人公2人は外泊届を出して夜遊びに繰り出した先で拉致現場に出くわすわけですが、彼らは遊びに出かけるためのおしゃれ着を全く持ち合わせていません。そこで同期の部屋に勝手に入り、我が物顔で「ここから選べよ」とハンガーラックを指差し、その同期の目の前で気に入ったのを一着持って「あざ〜」と去っていきます。めちゃめちゃ真剣な顔で勝負服(人のもの)を吟味してる。

そしてナンパをする時のさりげない笑顔の練習をしようという話になっていろいろ試している途中、何気なく同期の悪口を言った瞬間に「あ、それ、その顔キープ」「待って、どの顔?」「もう一回言ってみろ」「(悪口言う)」「キタキタキタキタ!」「これ? この顔?」とかやってるのマジでアホすぎて泣けてくるから。

どうだ、ケンティー&平野にできるのか。 あ、でも平野くんに関しては普段からこんな会話してそうだな。悪意なく人のもの勝手に借りてそうだし(偏見)。あと原作と決定的に違うのは身長かなあ。韓国は日本より身長とか筋肉とか見栄えをかなり重視する文化よね。身長の低いガリガリの男性俳優とか見たことない。

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左がケンティーの役をやってたカン・ハヌル、右が平野の役をやってたパク・ソジュン。カン・ハヌルも180cm以上あるのにパク・ソジュンがさらにでかいんだよな。しかし警察の制服かっこいいね。

近未来SFの行く先


どうも、こんにちは。

近未来を描いた作品は映画・小説・アニメなど多ジャンルで枚挙にいとまがないわけですが、例えば『バック・トゥ・ザ・フューチャー PART2』(1989)や『新世紀ヱヴァンゲリヲン』シリーズでは2015年の世界が、『ブレードランナー』(1982)や『AKIRA』(1988)では2019年の世界が描かれています。その時期が来るたびに作中の世界と現実の比較で盛り上がるという暇を持て余したオタクたちの遊びが繰り広げられます。

特に『AKIRA』は2020年の東京五輪開催・延期(中止)のみならず、新型コロナの感染拡大まで言い当ててるなんて話が出てきてますますAKIRA信者が増えちゃうなって感じです。もはやAKIRAは宗教。そして1980〜90年代に描かれた近未来がもうすでに「現在」になっていることを考えると、2020年以降に新しく描く近未来SFって一体どんなものになるのよって話なのよ。

近未来SFって、宇宙系、ロボット戦争系、アンドロイド・AI系など何種類かに分けられると思うんですけど、私はアンドロイド・AI系の「科学技術!そして倫理観!」みたいな作風が好みなので『ブレードランナー』シリーズはストライクでした。あとこれも個人的な好みですが、まず社会をマクロで見た時に大きな問題があって、それに加えてミクロ(個人)でも問題が発生しちゃうやつはリアリティがあっておもしろい。

『ブレードランナー』シリーズはまさに私の好みに合致してるわけですが、私がこれまで観た作品で設定がすげえと思ったのは『PSYCHO-PASS』です。『PSYCHO-PASS』って本当によくできてるの。アニメは3期まで放送済みだし映画もなんかめっちゃやってるから(適当か)とりあえずアニメ1期だけはネタバレさせてほしい。設定を説明するにはネタバレ不可避だから。すまんけど。

サイコパス

人間の心理状態や性格を計測・数値化して管理する「シビュラシステム」が導入された22世紀の日本の話なのですが、このシビュラシステムでは将来的に犯罪を犯しうる可能性までも数値化し(犯罪係数と呼ぶ)それが一定値を超えた者は潜在犯として社会から隔離されるというヤバ怖な世界です。

厄介なのは、犯罪係数は単に危険な思想を持っていると高くなるわけではなく、事件に被害者として巻き込まれたり、命の危険を感じたような場合にも上昇してしまいます。つまり精神的にダメージを受けると上昇すると思ってください。しかし稀に生まれつき精神的ダメージを受けにくい、またはダメージを受けても数値として表れないタイプの人がいて、こういった免罪体質と呼ばれる特徴を持つ人間は仮にどんな凶悪犯罪を犯しても裁くことができません。なぜか。

犯罪者や潜在犯を確保する際は、ドミネーターと呼ばれるレーザー銃のような武器が用いられます。ドミネーターを起動すると、照準を合わせた対象の犯罪係数を計測し、一定値を超えた場合にのみ安全装置が外れて使用できる仕組みになっています。つまり犯罪係数が一定値を超えなければドミネーターが作動しないので、犯罪係数が上昇しない免罪体質の人間には何もできないというわけです。

ドミネーターが使えないなら普通の拳銃使えば? と思った方、冴えてます。PSYCHO-PASSの世界にも通常の拳銃は存在しています。が、仮に実弾で対象を射殺した場合、個人の意思で発砲したと見なされてただの殺人になってしまいます。ドミネーターで犯罪係数を測定・射殺するのはシビュラシステムの判断によるものだから、いうなれば簡易裁判にかけて執行したようなテイになります。逆に言うと、裁けない免罪体質者はシビュラシステムにとって不都合な存在であり、その存在を認めることはすなわちシステムの欠陥を認めることと同義です。そんなことは絶対に避けたいので国家規模の隠蔽が行われます。

ここまではよくある話っすよ。恐ろしいのはその隠蔽方法とシビュラシステムの正体です。世間には「大量のスーパーコンピューターの並列分散処理」と公表されているシビュラシステムは、なんと人間の生体脳をユニット化して統合運用させた有機演算システムだったのです。そしてシビュラシステムで裁けない免罪体質者は、脳を取り出してシステムの中に組み込んじゃおう!ってなわけ。免罪体質者は他者に不必要な共感をせず、俯瞰して判断できるイレギュラーな傾向を持つので、それをシステムに取り込めればAIとしての処理能力も確度も向上するよね〜って話。

アニメ1期のヒロインは公安局刑事課の監視官(わかりやすく言うと刑事)なんですけど、実は彼女も免罪体質なことが発覚してシビュラシステムに勧誘されます。我々の一部になってより良い社会を作ろうって。怖すぎ。



以上、長々と作品設定の話をしましたが、これが案外フィクションだと馬鹿にできない現実があるわけです。現在アメリカのシカゴ市では将来的に犯罪を犯しそうな市民は警察に行動を監視されてるそうです。さすがに逮捕まではしないけど、何も罪を犯してないのに個人情報もプライベートもすべて警察に筒抜けになってんの。信じられます? アメリカはスノーデン事件で国民の個人PC・スマホのメール、チャット、電話、ビデオ、写真、その他ありとあらゆる記録を監視してたことが明らかになったのに懲りてないのかな。

PSYCHO-PASSの舞台は約100年後の世界なわけですが、すでに潜在犯の監視まで現実に事が進んでいるとなると、人間がAIに管理される日もそう遠くなかったりして、と思います。ここ2、3ヶ月で急激にコロナ禍が進行してるし、これをきっかけに人の動きがきっちり管理される社会に傾いてしまうんじゃないかという怖さがある。まあコロナ対応もこれだけ後手後手の日本がいきなり急進的なシステムを導入するとは思えないので、その時は世界中が管理社会になってるだろうしそうなったらもう終わりだ。打つ手はない。

近未来SFの行く先ということで私が最近考えるのは、ガンも治る病気と言われるようになってきて、今後様々な病気の治療法が確立されていってさらに寿命が伸びるとしたら、治療を受けられる人(富裕層)と受けられない人(貧困層)で間違いなく寿命に差が出てくるし、病気で死なないならなにで死ぬのって話になってくる。たぶんすでに似たテーマで書かれてるはずですけれども、まだ開発の余地がある分野だと思います。



ちなみに『AI崩壊』(2020)で個人スマホのカメラや車のドライブレコーダーを警察が勝手にハッキングする描写があったんだけど、絶対スノーデン事件参考にしたでしょって感じだし、国家を揺るがすAIの暴走の原因がハッキングって、いくらなんでもセキュリティが脆弱すぎる。それはサーバーコアに簡単に入り込まれるセキュリティレベルでOK出した国の問題だわ。そして国民のライフラインがひとつのシステムで一括管理されてるっていうのもガバガバのガバで笑える。リスクヘッジって言葉知ってる?って話。