日曜じゃなくて月曜から始まる 『セブン・シスターズ』
どうも、こんにちは。
本日は設定のユニークな近未来SFをご紹介。
『セブン・シスターズ』(2017)

近未来、世界的な人口爆発による食糧難が深刻化し、一人っ子政策を打ち出したある国家が舞台です。食糧難の対策として遺伝子組み換えによって大量収穫が可能になった穀物が開発されますが、その穀物が人体に影響して多胎児が増えるというジレンマ社会に生まれた七つ子姉妹のお話。
七つ子の母は出産とともに亡くなり、父は行方不明ということで、母方のおじいちゃん(ウィレム・デフォー)が彼女らを育てるわけなのですが、まずこのおじいちゃんが只者ではありません。自称ボンクラのおじいちゃんは国家から隠れて七人を育て上げてるし、もちろん七つ子は社会的には一人の人間でIDもひとつしかないので、それをうまく共有させるために独自のシステムを開発しちゃってるんですよね。ボンクラどころか凄腕の技術屋じゃないですか。その技術を活かせる仕事したら荒稼ぎできると思う。
自称ボンクラで働いてる様子がないのに七人もの子供を育てる資金は一体どこから捻出しているのか、そして成長した七つ子はやはり一人の人間のふりをして銀行勤めしているので、たった一人分の給料で七人食べていけるのか、という部分が個人的には気になって気になって仕方ないのですが、そのあたりは気にするだけ野暮なのだと思います。
やっぱり近未来SFはアイデア勝負ですから、設定はシンプルであればシンプルなだけいい。外部からツッコまれまいと辻褄を合わせようとして細かい設定を加えると、ややこしくなっておもしろさが落ちるから。細けえことはいいんだよ精神で開き直るくらいがちょうどいいのかもしれません。本作に関しては、おじいちゃんは株か何かで稼いでいた、七つ子は高給取り、ということにしておきましょう。
さて、七人が一人のふりをして生きるその方法ですが、「曜日の数と同じじゃん!」とひらめいたおじいちゃんは、第一子から順番に月曜(Monday)、火曜(Tuesday)、水曜(Wednesday)……のように命名。七つ子が就学年齢に達すると「明日からはそれぞれ自分の曜日にだけ外出してよし!」と、週1の外出、週6の監禁生活を命ずるのでした。
ここでまた作品の大筋とは関係のない話で脱線するのですが、ちょっとした個人的な疑問です。
命名、日曜からじゃないんだね?
曜日の歌はサンデーから始まってサンデーカムズアゲインで終わるじゃん。
ええ、そうです。一週間って日曜から始まるんじゃないの?問題です。
近年、月曜始まりの手帳が増えてますが、私は日曜始まりじゃないと嫌なので毎年年末になると性懲りも無く声を荒げています。こちとら日曜が左端にないと気持ち悪いのよ。書き間違えるのよ。一日ずれちゃうのよ(ちゃんと日付を見て書き込めば済むだろ、というツッコミは受け付けません)。だって、考えてみてください。普通のカレンダーは未だ日曜始まりの勢力が根強いのに、なぜ手帳は月曜始まりにシフトしたのか。その妙な棲みわけは何なのか。私は「週末っつったら金土のことであって日曜は含まないだろ」推進派なのですが、悲しいかな、これは少数意見のようです。世間的には「週末=土日」派が大多数を占めるようです。
やれやれ。
そんなこんなで、月曜始まり急進派が多いのはてっきり日本国内の話だと思い込んでいたので、こんなところで海外にも月曜始まり文化があるのだということに驚きまして、少々調べてみました。するとなんと、日曜始まりはアメリカ式、月曜始まりはヨーロッパ式だということが判明。なるほど。『セブン・シスターズ』の監督トミー・ウィルコラはノルウェーの人だった。そういうことか。
ちなみに、イスラム圏では土曜始まりのカレンダーもあるらしいです。公休日が金曜で、お役所などは金土が休みなのだそう。つまりイスラム圏には「週末っつったら金土のことであって日曜は含まないだろ」推進派がいるということだな。仲間だ。
脱線が長くなりました。話を戻します。
一人七役というハイパー難しい役どころにチャレンジしているノオミ・ラパスさん。親しみを込めてノオミ姉さんと呼びましょう。かっこいいし、かわいいし、きつい感じがあるかと思えば少女のような可憐さもある。七人全員同じ顔だけど全然違う。誰が何曜日なのか最初はなかなかわかりづらいのですが、結構ビジュアルに特徴があるので、最初の二十分くらいを乗り切れば楽しい。私は赤毛の火曜が一番かわいらしくて好きです。
SFミステリーはネタバレ厳禁なので細かい話は避けますが、これだけは言わせてください。メインキャストを容赦なく殺していく。それがハリウッド。
ノオミ姉さんは、元祖ドラゴンタトゥーの女。つよい。
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