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気晴らし細論

2019年05月の記事

「わかる」ってつぶやきながら観た 『きみの鳥はうたえる』


どうも、こんにちは。

この映画いいよ〜という風の噂を聞いていたので、どんなもんやねん、お手並み拝見してやろう、と意気込んで観てみましたが、なるほどよかったです。


きみの鳥はうたえる(2018)

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函館郊外に暮らす主人公(柄本佑)は、ひょんなことからバイト先の書店の同僚・佐知子(石橋静河)と距離を縮めます。そこに主人公の友人であり同居人でもある静雄(染谷将太)も加わり、三人で毎夜のように飲んで遊んで、共に過ごす時間が増えるにしたがって三人の関係は少しずつ変化していきます。


本作の主人公「僕」はバイトを無断欠勤したり、万引き犯をそうとわかっていて見逃したり、約束を簡単に破ったり、かなり責任感のない奴です。佐知子にも、バイト先の店長にも「誠実じゃない」と言われています。一方で、同居してる友人・静雄のお母さんには「いい子だね」とか言われたりもしてるんですね。悪い奴じゃないんだけど、大人としてはだらしない。そんな感じ。

責任感を持って働く真っ当な大人からすれば、主人公に共感する部分は全くないでしょう。むしろ腹が立つくらいだと思います。私もさすがに無断欠勤は無いだろ、と思いました。でもこういう作品のずるいところは、冒頭に主人公のクズ行動が連続していくつかあって、徐々にまともな面も見えてくるという描き方をするところ。あれ? 意外とやばい奴でもないのかもしれない、って錯覚してきちゃう。

またその塩梅が絶妙というか、実際にいるんですよ、こういう奴。友人としては普通にいい奴で、別に頭も悪くなくて、きっと仕事だってやろうと思えばちゃんとできるだろうに、どこかだらしない。約束や時間が守れなかったりする。本作風に言えば、誠実じゃない。

私の周りにも何人かいます。友達の家に集まって朝までゲームして、次の日それぞれ大学の授業やバイトがあるのに行かなかった、バイトはその無断欠勤のあと一度も顔を出さずに辞めた(いわゆるバックレですな)なんて話をわりと最近聞きました。その時は、こいつらクズだな信じられん、と思ったんですけど、でも主人公たちがやってることとほぼ同じだし、なんなら主人公のほうが無断欠勤した後にもちゃんと出勤してるからまだマシかもしれない。

本作は大人の青春なんて言われたりしていますが、個人的な総評。

リアルすぎて見てられんくらいリアルだ。

作中の三人の言動は、私が友人から聞いた話、あるいは自分自身が身に覚えのあることで構成されてるんじゃないかっていうくらい身近でした。宅飲み中のぐだぐだした会話、翌朝のぼんやり感、カラオケ、ダーツ、ビリヤード、卓球、クラブなどではしゃぐ姿(この手のやつでありがちなバッティングセンターがなかったのもまたリアル)、よれよれの服。三人はシャツをよく着てるんですけど、私もシャツ好きだし、大学時代の先輩同期後輩みんなよくシャツ着てたし、静雄の大きめTシャツに短パンスタイルも見覚えがありまくりだった。そういう奴いた。

異性でも過剰に気を使わない感じも、わかる。一応、主人公と佐知子がまず友達以上恋人未満みたいな関係になって、そこに静雄が加わるって感じなのですが、佐知子と静雄も肩を組んだり、静雄が佐知子の前をパンイチで歩いたり、それを三人ともさほど気にしてない。佐知子がビッチにならない、三人の関係がフランス映画みたいにならない絶妙の距離感。

それから、印象的だった会話が一つあります。静雄は失業中なのですが、お母さんの持病が悪化して入院しているという知らせを受けたあと「働きもせずに毎日こんな風に飲んで遊んで、バチが当たったのかもね」というようなことつぶやきます。それに対して「そんなこと考えなくていいよ。遊んだり飲んだりして何が悪いの?」と答える佐知子。

わかる。

私自身ニート生活してた時期があったし、わりと今もそんな感じだし、静雄と佐知子どちらの考えもわかります。こんな風に楽しい生活してていいのかなと思う一方で、別に自分で稼いだ金で遊んでる分にはいいでしょ、と開き直る自分もいる。

他の国の考え方は知らないけど、日本人には、厳しい状況にいないと堕落する、つらい思いをしないとダメ、みたいな感覚がある気がします。「仕事=大変なもの」で、大変じゃなければ仕事じゃない、みたいな。それこそ上の世代が言う「俺たちが若い頃は残業なんて当たり前だった」「若いうちに無理して働かなきゃ」みたいなやつも、結局は楽して働くことへの罪悪感なんじゃないか。きっと私のように「わかる〜〜〜〜〜」って思ってる人が多いから、この作品が評価されてるんだろうな。


さて、本作の舞台は函館ですが、原作では東京の国立が舞台らしく、ますますリアルである。原作者が函館出身の佐藤泰志ということで、だから函館ね、とすんなり納得していたのにまさかでした。佐藤泰志は國學院大卒だそうです。映画版で舞台が函館になってるのは、函館の映画館から映像化の話が持ち上がったこととか、監督も北海道出身だからとか、そういう理由のようです。

ヒロインの命が危険にさらされすぎ問題


どうも、こんにちは。

本日の議題は邦画に限った問題ではないのかもしれないですが、どうも邦画は特に多い気がする。まずはこちらをご覧ください。

『愛唄 -約束のナクヒト-』(2019)……1/25公開〈東映〉
『雪の華』(2018)……2/1公開〈WB〉
『フォルトゥナの瞳』(2019)……2/15公開〈東宝〉
『九月の恋と出会うまで』(2019)……3/1公開〈WB〉
『君は月夜に光り輝く』(2019)……3/15公開〈東宝〉

今年、2019年1〜3月劇場公開の上記5作品の共通点。それはヒロインに死の危険が迫っているということです。

事故と病気の違いや、死ぬと見せかけて死なない場合もあれど、いくらなんでも被りすぎじゃないか。撮影時期は全然違ったのにたまたま公開時期が被ってしまっただけという可能性もありますが、そもそも死ネタを扱う作品の絶対数が多いからこうなっちゃうんだと思います。ワーナーブラザーズと東宝は月イチで出してるわけですからね。過去を振り返ってみても、ヒロイン死んじゃう系のヒット作品いっぱいあります。思いつく限りで列挙してみます。

『世界の中心で、愛をさけぶ』(2004)
『ただ、君を愛してる』(2006)
『余命1ヶ月の花嫁』(2009)
『湯を沸かすほどの熱い愛』(2016)
『僕は明日、昨日のきみとデートする』(2016)
『君と100回目の恋』(2017)
『君の膵臓をたべたい』(2017)

ヒロインが死にがち、というのは邦画の伝統芸能なんでしょうか。テーマがテーマなので、タイトルも似通いがち。「愛」「恋」「僕」「君」この辺のワードが出てきたら危険です。ターゲット層はティーン女子ですか、ティーン女子を舐めてませんか、というような浅い作品が多いのも気になります。女子中学生、女子高校生、女子大学生諸君には、浅い作品に踊らされない審美眼をぜひとも養ってほしいです。誰目線だよ。

さて、ヒロイン死んじゃう系の作品にもいろいろあるよねということで、誠に勝手ながらこの手の作品を大きく3つに分類してみました。

難病に侵され余命わずか系
もっとも古典的かつド王道の手法です。かつてはヒロインが死ぬ映画といえば決まってこれが用いられてきたと言っても過言ではないでしょう。長い歴史のある伝統的なやつですが、令和に突入したこれからの時代、なおもこの手法を使う作品はもれなく私の独断と偏見で時代遅れ認定させていただきます。そんなにやりたいならせめて『8年越しの花嫁 奇跡の実話』(2017)みたいに最後ハッピーエンドになるやつにしてくれ。

SFタイムパラドックス系
この手法は近年急激に増えてきた印象がありますが、はっきり言ってどれも中途半端です。辻褄を合わせるのが難しい設定なので、どうしてもご都合主義になってしまう傾向が見られます。でもな、わざわざ難しいところに手を出すんだったらちゃんとやってくれ。『アシガール』くらい練ってくれ(詳しくはこちら→いろんな人に薦めたけどみんなチェックしてくれないので『アシガール』の魅力を大解説スペシャル)。

不思議スピリチュアル系
ファンタジー要素があるというか、科学では説明できないちょっと変わり種のやつです。大枠では『黄泉がえり』(2003)や『いま、会いにゆきます』(2004)なんかも入れていいのかもしれません。決まった形がないので、発想次第でいくらでも新しいものが作れるのではないかと思います。

以上、大まかに見れば、ヒロイン死んじゃう系はこの3つに分類できるはず。自分がコテコテの恋愛映画は好きじゃないからどうしても斜に構えた見方をしてしまうんだと思うのですが、もう普通の恋愛映画はやり尽くされてるから頑張って凝ってほしい。

例えば、ノルウェー映画で『テルマ』(2017)という作品があります。

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ジャンルとしては一応ホラーに分類されるようですが、個人的には不思議スピリチュアル系の恋愛映画だと思っています。怖い描写はそれほど多くないし、親からの抑圧、信仰による抑圧、そういうものからの脱却を恋愛で描いてるんだけど、余計なまどろっこしいセリフが一切ないのでそれはもうキレがあってとてもスタイリッシュです。おすすめ。こういうのがもっと増えるといい。



ところで北村匠海くんは『君は月夜に光り輝く』でも『君の膵臓をたべたい』でも、ヒロインの「死ぬまでにやりたいこと」を実行する同級生の男の子っていう全く同じ役どころだったんですけど、いろいろ大丈夫?

LAご当地映画といえば


どうも、こんにちは。

以前ニューヨークのブルックリンっていろんな映画に出てくるよね〜という話をしましたけれども、西海岸にも大物がいらっしゃいます。そうです。ロサンゼルスが舞台の映画も数え切れないほどあるわけでございます。ロサンゼルスは私がアメリカ本土で唯一行ったことがある街なので、作品に自分の知ってる場所が出てくると妙にうれしくなってしまうという私情をがっつり挟みながら参りたいと思います。

ロサンゼルスご当地映画といえば、近年ではやはり『ラ・ラ・ランド』(2016)が最有力なのではないかと思います。ロサンゼルスにはハリウッドがあってビバリーヒルズがあってサンタモニカがあって、どうしてもセレブやパリピのイメージが強いし、警察と犯罪者がカーチェイスしがち、何かと爆発しがちですが、『ラ・ラ・ランド』はそれぞれに自分の夢を追いかける男女2人の話なので、まだあまりお金がない一般人のリアルなLA暮らしが覗けます。あの車社会の中にあって、徒歩でデートするシーンとか結構貴重な気がする。

そしてそんな『ラ・ラ・ランド』と比較されることの多い作品として、デヴィッド・ロバート・ミッチェル監督の『アンダー・ザ・シルバーレイク』(2018)というものがあります。

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『アンダー・ザ・シルバーレイク』は、一応なにかしらの夢があるらしいけど努力もせずぐうたらしている主人公が一目惚れした女の子の突然の失踪をきっかけにロサンゼルスに潜む陰謀を解明しようと奔走する話です。ハリウッドは誰かの陰謀で動いている。ハリウッドから生まれた大ヒットソングや映画の中には何かしらの暗号が隠されている。彼女はそれに巻き込まれたに違いない!と。簡単に言うとオカルト妄想アドベンチャーです。

ネタバレしちゃうけど『ラ・ラ・ランド』が最終的に夢を叶える話(そのために恋愛を犠牲にするけど)なら、『アンダー・ザ・シルバーレイク』は夢を叶えられずにくすぶっている人の話で、ロサンゼルスの裏側を描いています。有名なエピソードとして、双方に共通して登場するグリフィス天文台の描き方の違いがおもしろい。前者では主人公2人がデートで天文台を上にのぼっていくのに対し、後者は主人公がホームレスのおっさんに導かれて天文台の地下に潜っていく、という非常にわかりやすい対比。

例えるなら『ラ・ラ・ランド』がディズニーランド、『アンダー・ザ・シルバーレイク』はディズマランドといったところでしょうか。ディズマランドというのは、いま日本で何かと話題のバンクシーがかつてプロデュースしたテーマパークなのですが、こんなテーマパークには行きたくないっていうコンセプトのもと作られた悪夢の国です(期間限定でオープンしてたので、今はもうないらしい)。

『アンダー・ザ・シルバーレイク』は暗号文やらサブリミナル効果やらニンテンドーのゲーム(マリオやゼルダシリーズ)などサブカル要素が盛りだくさんだし、ゲーム好きは結構楽しめるんじゃないかと思います。タイトルにもある「シルバーレイク」というのはロザンゼルス東部に実在する貯水池のことで、主人公はその地域に住んでいます。きらびやかな中心地からは少し離れている。たぶん私のように『ラ・ラ・ランド』があまり刺さらない種類の人間は『アンダー・ザ・シルバーレイク』のほうが好きだと思います。

140分もあって長すぎる点が残念だけど、監督の遊び心がつまっています。作中で『アメリカン・スリープオーバー』(2010)っぽい作品が野外上映イベントで流れているのは、監督のセルフパロディである。



では2作品の比較はこれくらいにして、次はロサンゼルスを走るメトロについて。地元民がどれくらい利用しているのかは謎ですが、ロサンゼルスを訪れる観光客の移動手段はおそらくメトロかバスに限られるのではないかと思います。タクシーもあるけどロサンゼルスは広いからタクシーだと高くついちゃう。かく言う私も滞在中はメトロとバスに大変お世話になりました。そしてメトロの駅とその周辺は結構いろんな映画に出てきます。

まずはレッドラインとパープルラインが通る "ウェストレイク/マッカーサーパーク駅" です。忘れもしないマッカーサーパーク。なんだか名前からしてすでにきな臭さが漂っていますが、5年前に姉とロサンゼルスを訪れた時、この駅の近くに宿泊しました。まったく土地勘がないので完璧に場所と値段で宿泊地を決めたわけなのですが、いざ現地に到着して、ここってどんな場所なんだろうかと軽い気持ちでグーグル先生にお尋ねしてみると「マッカーサーパーク周辺は治安が悪い」というあまり穏やかでない情報が飛び込んできます。そして2人でビビり倒しながら駅から宿までの道を歩くという貴重な経験をしました。

「マッカーサーパークの池には死体が沈んでいる」なんてグーグル情報とは違い、公園の中もその周辺も実際はとても穏やかで、事件など起こる気配は微塵もなく無事に帰国しました。全然平気じゃねえか、ビビらせやがって、と帰国したのをいいことに踏ん反り返る勢いで友人や家族に武勇伝のごとく吹聴したのち、私はある映画を観ました。

以前少しお話したライアン・ゴズリングがイケにイケてる『ドライヴ』(2011)でございます。逃がし屋としての仕事を請け負うシーンだったと思うのですが(違ったらごめん)その現場はまごう事なきあのマッカーサーパーク。海沿いでもないのに、どちらかというとむしろ山の方なのになぜかヤシの木がそびえるあの公園。若干ゴルフコースの様相を呈するあの公園。

それからこちらも以前お話したことがありますが、デンゼル・ワシントン×イーサン・ホークの『トレーニングデイ』(2001)にも登場します。女子中学生だったか高校生だったか、とにかく10代の少女が男に襲われそうになったところを2人が助けるシーンはマッカーサーパークのすぐ近くの路地。


あれ、マジでこのあたりそういう地域なんか?


何もなくて本当によかった。


さて、同じくレッドラインとパープルラインが通る "シビックセンター/グランドパーク駅" 。こちらは2度目のロサンゼルス滞在時のホテルに近くてよく利用したのですが、この駅は『テイカーズ』(2010)で登場します。今は亡きポール・ウォーカーをはじめ、イドリス・エルバやヘイデン・クリステンセンらが強盗チームを組むというイケメンアクション映画ですが、まあ魅力はそこだけですね(おい)。チームの中の1人が自分の分け前のお金を持ってメトロに乗ろうとした時にロス市警の刑事に見つかって逃走するんだけど、駅の入口が結構特徴的なのでわかりやすかったです。

さらにレッドラインとパープルラインだけでなく他にも複数の路線がのり入れる "ユニオン駅” は、大きな時計台のような外観が特徴で、キアヌ・リーブス主演の『スピード』(1994)にも出てくるし、レオナルド・ディカプリオ×トム・ハンクスの『キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン』(2002)には銀行として登場します。この駅は、その他様々なヒット作に登場している名物ロケ地だそうです。


あとは最近では『キャプテン・マーベル』(2019)にもメトロが出てきてました。何色の路線だったか覚えてないんだけど、エクスポラインかな? とりあえず地上を走る路線だった。



というわけで、みなさん旅行の際は充分にリサーチしてから行くことをおすすめします。当たり前。

最近ついにJr.チャンネルに手を出した件


どうも、こんにちは。

私、友人や先輩に現・元ジャニオタが数名おりまして、ちょくちょく噂には聞いていたんです。肖像権保護のためにネット上では画像や動画を厳しく制限していたジャニーズが、YouTubeにて公式のJr.チャンネルというものを開設したのだと。これからはネットでも全世界に発信していくよ〜と、ようやく重い腰をあげたのだと。Jr.チャンネルでは、Jr.の各グループがそれぞれ自分たちの考えた企画やゲームに挑戦したり、コンサートの裏側を見せたり、新しいパフォーマンスを披露したりしています。

噂は聞いてた。なんならSixTONES(ストーンズ)のJAPONICA STYLEのMVが配信された頃チラ見してたし、去年デビューしたキンプリことKing&Princeのシンデレラガールを聴いて、みんな歌上手いじゃーん、ジャニーズやるじゃーんと思ったりもしてたよ。でもその程度で済んでた。

ところが4月頭のことです。この流れ、前にもあったな?

ジャニーズJr.の面々が出演する『映画 少年たち』(2019)公開記念の舞台挨拶をわけあって拝見したのですが、ストーンズのしゃべりが思いのほかおもしろくてね、帰宅してから噂のJr.チャンネルを見始めてしまったのがいけなかった。

第一印象。

ストーンズ頭おかしいな?(褒めてる)

天下のジャニーズアイドルで、しかもデビュー前なのに天丼というお笑いの鉄板芸をしっかり身につけてるのは強いなと思った。ボケたがりが多すぎてたまに渋滞起こしてるのもガヤ芸人かなと錯覚する。なぜか猿をモンキーではなくマンキーと言うのも気になる(金城一紀のゾンビーズシリーズの高校生たちがマンキーって言うの、思い出してしまった)。それからね、

「この前、仕事行く途中で山下(智久)くんと会ったんだけど〜」
「その時さ、達郎さんはいなかったの?」
「クリスマス・イブじゃねえよ」

という会話を聞いた時、大変感慨深いものがありました。「山下達郎=クリスマス・イブ」がとっさに思い浮かぶのって今の20代がギリだと思うんですよね。たぶん10代の子や外国人にはわからないじゃん。私は長らくお隣の国のアイドルに触れてきたので、こういう何気ないレスポンスにぐっときた。あとストーンズは全員揃って箸の持ち方がきれいなのもかなり推せる。

さらに次の印象。

え〜JAPONICA STYLEダサいと思ってたけどなかなかのスルメ曲じゃん〜(スルメ曲=聴けば聴くほど味が出る曲)

以前JAPONICA STYLEをチラ見した時は「俺たちJAPONICA STYLE わびさびJAPONICA STYLE」ってなんだよ、とサビのたわけた歌詞が気になってもうそこでシャットアウトしてしまったんです。でもちゃんと集中して聴いたら歌うまいし、ダンスもちゃんとしてる。

ジャニオタを敵に回すことを覚悟で言いますが、私はジャニーズのダラダラしたダンスが好きじゃなくてですね、6人時代のKAT-TUNとかダンスがものすごくバラバラだったし、二十歳頃の山Pはしゃべりもダンスもチャラチャラふにゃふにゃしてて嫌だったし、明らかに手を抜いてるのがわかる軽さが鼻についた。ジャニーズを見ててダンスうまいな〜と思ったことがなかった(少年隊は別だよ!)。

しかし、そんなマイナスイメージを見事に払拭してくれたのが「ダンス練習動画」でございます。これはKドル界ではあるあるのやつなんですが、ダンス曲のパフォーマンスの全貌が定点カメラで見れる大変美味しい動画を、ついにジャニーズさんも取り入れてくれました。音楽番組やライブではどうしても瞬間瞬間でパートを担当してる人がカメラに抜かれるわけなので(そりゃそうだ)歌っていない他のメンバーがどういう動きをしてるかわかりづらい。しかしそれらの問題はこの「ダンス動画」ですべて解決されます。

Jr.チャンネルのダンス動画を見たら、今のJr.はみんなレベルの高いこと高いこと。パフォーマンス力はKドルにも全く劣ってないと思います。ジャニーズはアクロバットやるグループも多いし、くそ重そうで動きづらそうな衣装着て舞台上でバック転やらバック宙やら軽々と決めてるんだから、身体能力やハートの強さで言ったらむしろ上かもしれないくらいだよね。

それからジャニーズはダンスが揃わないという意見がありますが、それも違うと思います。ジャニーズは入所後すぐに先輩たちのバックについてステージで踊り、アリーナやドームなどの大きな会場に立つことも多いし、デビュー前でも舞台やミュージカルなどに出演しています。一方でKドルは世に出るきっかけがほぼCDデビューに限られ、活動の場はもっぱら音楽番組です。フェスやイベントにも出るけど、基本的にメディアを通して世間の目に触れることが多い。つまり広大なステージでお客さんを楽しませることを第一にするジャニーズと、テレビ映えするパフォーマンスでファンを獲得していこうとするKドルでは、やっぱり見せ方は違ってくるでしょう。どっちが良いも悪いもない。

ただひとつだけ言わせてくれ。

ジャニーズはやっぱり曲がだせえ。

90年代で止まってない? いや90年代が悪いわけじゃないけど、ていうか個人的にSMAPの音楽は90年代前半の曲が好きだけど、それは90年代の曲だからいいわけであって、間もなく2020年を迎えようとしている今、あの時代のバブルの残り香みたいな曲調でやられても、古い……としかならないよな。もうちょっとどうにかならん?

そして曲が残念でならないのは、実はストーンズよりもSnowMan(スノーマン)なんですよね。スノーマンはアクロバットがメインのグループで、バック転バック宙ロンダードなんでもござれなんだけど、素人目からしてもとびきりダンスのうまいメンバーがいるからもっと凝ったダンス曲やってほしいんだよね。それこそ90年代のいかにもJPOPっぽい曲ばっかりだから、もっと洋楽っぽいの、どう。

↓90年代のいかにもJPOPっぽい曲の例

とびきりダンスのうまいメンバー、それは岩本くんなんですけれども。上のカウコン動画では頭にバンダナ巻いてます。下のダンス動画では最初から画面内にいる白ロンTのメンバー。


筋トレが趣味でSASUKEなんかにも出ちゃってるらしい岩本くんな、ビジュアルは完全にヤカラだし、見れば見るほど全然顔は好みじゃないんだけど、なんかいいんですよね。たぶん声とダンスですね。地声は低めで若干ダミ声寄りなのに歌声はなぜだかすっきりクリア。ダンスは「止まる」「動く」の緩急がはっきりしてるというか、とてもメリハリがある。巷ではカウントが遅取りで体幹が全くブレないと評判です。個人的には、ちょっとEXOのカイ系統のダンスかな?と思った。そしたらなんと岩本氏は小1からジャズダンスを習い始め、バレエも経験した後にジャニーズ入所という経歴でした(EXOカイのダンスもジャズダンスとバレエ仕込みである)。

おれすごくない? ※ダンス完全素人の意見です。

あとスノーマンはみんなバック転する直前、座り込む勢いでしゃがんでから後ろへ行くんですけど、しょっぴー(渡辺翔太)だけまったく屈まないでいきなり行くのがすごいなと思った。カウコン動画の最後で一番左にいるのがしょっぴーです。反動つけないでよく回れんな、と。でも体操選手のバック転を見たところ、全然しゃがまないことが発覚しましたので、つまりしょっぴーのバック転は亜流でもなんでもなくむしろ正式な(?)バック転ということになりますね。



そんなわけで、KドルだけでなくJr.の動向を追う楽しみもできてしまった今日この頃です。まずいぞマジで。

ちょっと滝沢歌舞伎が気になってるのはここだけの話。



最後に。ちょっと驚いた話がありまして、岩本氏、きゅうり嫌いなんだってさ。

このブログで何度かモネクことMONSTA Xの話をしていますが、我が推しのミニョクもきゅうりが大嫌いだそうです。

その妙な共通点は何だ。

スーパーヒーローの成れの果て 『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』


どうも、こんにちは。

『アベンジャーズ/エンドゲーム』(2019)が『タイタニック』(1997)を抜いて世界歴代興行収入2位になったそうですが、この勢いはまだ続くでしょうね。1位の『アバター』(2009)も抜くんちゃうか。そんなわけで本日はこんな作品を取り上げてみます。



バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)(2014)

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かつてスーパーヒーロー「バードマン」役で人気を博し、その後ヒット作に恵まれず燻っている初老の俳優リーガン(マイケル・キートン)が役者人生の再起をかけてシリアスな舞台劇に挑戦する話。


舘ひろしの『終わった人』(2018)って作品ありますけど、ちょうどそんな感じですね。バードマンの副題は終わった人。

主人公リーガンは「バードマン」を演じてから20年以上たったにも関わらず、街を歩けば「バードマンだ!」と握手や写真を求められ、メディアでの取り上げ方はいつも決まって「バードマン役のリーガン」であることに不満を持っています。俺は役者だ!という意識が強すぎて、ヒーロー役だけじゃなくて俺はもっとちゃんと演技ができる役者なんだというところを見せたくて焦ってるわけなんですけど、彼が悪いというより周りがそうさせてる感じはある。日常的にバードマンの幻覚を見るほど追い詰められてる(取り憑かれてる?)ので可哀想になってくる。

いわゆる「一発屋」について、一発も当てられずに終わる人が多いんだから一発当てただけでも充分すごいことだ、なんて言ったりしますが、バードマンにしても20年以上たっても世間から忘れられてないのはかなりすごいことだと思います。ポジティブに捉えていいはず。

しかし、かつてスーパーヒーローを演じて大人気だった俳優の落ちぶれた姿を描いてるなんて、今このタイミングで観ると皮肉だなあと思ってしまいました。それこそ『アベンジャーズ』シリーズ然り、スーパーヒーローを演じてる俳優はこの世にいっぱいいるわけじゃないですか。今後バードマンのような人生をたどる俳優が出てくるんじゃないかと思うとちょっと切ない。ていうか初代スパイダーマンのトビー・マグワイアはすでに若干それっぽい。諸行無常。



さて、作品としては第87回アカデミー賞を受賞したこともあり、当時、一風変わったチャレンジングな映画だと話題になっていたのを覚えています。正直どれだけキワキワな作品なんだろうと思っていたのですが、意外と技巧派のちゃんとした映画でした。簡単に言うと、手持ちのワンカメラによる超長回しの撮影&全編ワンカット風の編集で、2時間ぶっ通し舞台を観ているかのような仕上がりになっています。

監督にしっかりしたビジョンがあって、腕のある撮影クルーがいて、それに応える俳優陣がいれば、なるほど成功するでしょう。確かに挑戦的ではあるけど決して無謀ではない。主演のマイケル・キートンはほぼ出ずっぱりでセリフの量もかなり多かったと思いますが、熱演しておりました。

マイケル・キートンは節度のない強欲おじさんが似合いますね。本作ではとにかく自分が這い上がることしか考えてない超自己中おじさんだったし、例えばマクドナルドをフランチャイズ化した実在の実業家レイ・クロックを演じた『ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ』(2016)では、創始者であるマクドナルド兄弟を出し抜くエグい性格してたし、実写版『ダンボ』(2019)で演じた悪役ヴァンデヴァーも金儲けのためなら手段を選ばないような守銭奴だったし。狂気が似合うおじさんだ。

そして脇を固める俳優陣も、エドワード・ノートンにナオミ・ワッツにエマ・ストーン。渋いところ揃えますな。特にエドワード・ノートンの、演技に関しては天才的なんだけど他のことは何もできない役者馬鹿の男、最高だったな。ナオミ・ワッツは美人なのになんか幸薄そうな感じがリアルで好き。あとエマ・ストーンのキレ顔は妙に腹立つよね(褒め言葉)。