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気晴らし細論

2019年02月の記事

佐藤健はもはや動ける俳優としての地位を確立した感がある


どうも、こんにちは。

江戸時代の時代劇なのに監督が外国人という不思議な作品『サムライマラソン』(2019)が公開中ということで、本日は主役を努める佐藤健を取り上げます。

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1989年生まれの29歳(2019年2月現在)。朝ドラも話題になったし、恋愛映画にもいくつか出てるし、その他いろいろなテイストの作品をやっていますが、佐藤健と言えばやっぱりアクションでしょう。『るろうに剣心』シリーズに始まり、『亜人』(2017)、『いぬやしき』(2018)ときて、『サムライマラソン』。私は『サムライマラソン』未鑑賞なのですが、時代劇なので殺陣もあるんじゃないの? 適当か。

群雄割拠の若手俳優の中で、彼はうまいことニッチ市場を突いたと思います。スタントなしで自らアクションをこなせる高い身体能力があり、さらに表情でも魅せられる繊細な演技力と、老若男女に受け入れられる美しいお顔を持っている。これって近頃あまりいなかった稀有な存在だと思うのです。だって、今の日本で動ける俳優は、佐藤健か、V6の岡田准一か、という感じじゃないですか。

岡田くんは見るからに体ががっちりしていて、鍛えてんな〜というのがわかりますが、佐藤健は一見それほど筋肉があるように見えません。しかしやはりスクリーンに映る肉体はかなりのもの。しかもですね、使い込まれた筋肉というのか、見せるために鍛えた筋肉じゃないのがとてもかっこいい。例えば、腹筋だけ鍛えている人は板チョコのように割れてても腰が細いけど、佐藤健の場合は、腹筋もきっちりくっきり割れている感じではなく、他の部分も余すところなく鍛えられていて、全身ががっしりしてる。まるでアスリートのよう。

しつこいくらいいろんな人に言っているのですが、『るろうに剣心』の映画化は佐藤健が出てくるまで本当によく待った。この一言に尽きます。誰がどう見てもまごうことなき剣心でした。背格好も見た目も完璧。漫画原作なので普通の殺陣じゃないし、着物に袴、足元は草履で高速の立ち回りを演じるのはめちゃくちゃハードだったと思います。それからこれもいつまでも言い続けるけど、着流し×ポニーテールで佇む佐藤健の色気は半端じゃないぞ。

次に、『亜人』で佐藤健が演じた主人公は、交通事故にあったのをきっかけに死んでも再生を繰り返す "亜人" だということが判明する、という設定です。主人公はごく普通の医大生のはずなのに、佐藤健の動きが身軽すぎて序盤から激しいアクションを繰り返すので、お前は本当にただの医大生かよ、忍者じゃないのかよ、とツッコミたくなってしまいます。

そして『いぬやしき』。闇堕ちした佐藤健、最高だったな。不機嫌な佐藤健は強い。後半は佐藤健が殺人鬼と化してずっと不機嫌だったのでぞくぞくしました。DV男役とか似合いそうなので、やってみてほしいです。それから余談ですけれども、二階堂ふみ演じるクラスメイトの女子に「大好き!」と告白された時は「あんた誰?」とか言ってたのに、その後初めてその女子を呼ぶ時にはナチュラルに下の名前を呼び捨てしてるんですよ。強すぎる。



さて、映画やドラマを観ている分にはさほど感じないのですが、バラエティ番組に出た途端、佐藤健は異様な雰囲気を放ち始めます。無口で、あまり笑わず、場合によっては愛想がないと言われてしまうようなかなりクールなスタイル。これはあくまでも私見なんですけれども、佐藤健から漂うあのそこはかとない自信感みたいなものは、数々のいい女を抱いてきましたみたいな、食物連鎖の頂点にいる感じといいますか、群れのトップに君臨するオス的な、確実に男は抱いてないし抱かれてもいないわけ。佇まいが真性の女好きなわけよ。

みなさん、去年の紅白歌合戦は見ましたか? 佐藤健さん、審査員席にいてちょいちょいカメラに抜かれてたのに、ずっと顔死んでましたよ。俺、はやく六本木行きたいんだけど、みたいな顔してましたよ。彼は非常に悪名高いようですから、新井さんの二の舞にならないよう遊びもほどほどにしておいてくれることを願います。捕まらなければいいよ。うん。捕まらなければ。



今後の展望としては、今までやっていないジャンルということでごりごりのハードボイルドが観たいな。私は潜入捜査官モノが大好物だから警察官という身分を隠してヤクザなどの暴力団かあるいは犯罪組織に入り、徐々に実力をつけていく中で、俺は一体何者なんだろうと葛藤する役、ぜひやっていただけないだろうか。で、闇堕ちしてくれ。狂ってくれ。もれなくついてくるよ、日本アカデミー賞。



最後に、ウイスキー知多のCMの佐藤健は最強じゃない? だって白シャツ着てるもん。



イタリアンクライムコメディ三部作 『いつだってやめられる』


どうも、こんにちは。

本日ご紹介するのは、巷でも話題(?)のイタリアのクライムコメディ映画三部作です。



いつだってやめられる 7人の危ない教授たち(2014)

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こちらが一作目です。物語の主人公は、大学の経費削減により失職し、慣れないバイト生活で食いつなぐ日々を送る元大学教授たち。優秀な頭脳を持て余した彼らが、違法薬物に指定されていないドラッグ、つまり新しい合法ドラッグを作って一儲けしよう!と企むところから始まります。

神経生物学者を始め、計算化学者、考古学者、文化人類学者、マクロ経済学者など、みんな各分野の権威なのに大学をクビになって皿洗いやガソリンスタンドのバイトをしているという非常に虚しい状況です。そりゃあ、ひと儲けしたくもなるし、さすが、その儲け方も法の抜け目を狙ったずる賢いやり方です。

学者ならではのウィットに富んだ会話劇が本作の大きな魅力であり、私はイタリア語はボーノとチャオとアモーレくらいしかわからないのですが、早口のイタリア語は聞いていてなかなかクセになります。それからしゃべる時の仕草もポイント。言葉で説明するのが難しいので、ちょっとクリステルさんに手伝ってもらいます。

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一世を風靡した「お・も・て・な・し」の場面でございますが、手のひらを上に向けて指先を揃えてますね。これを両手でやって、しゃべりながら上下に小刻みに振る。よく外国人がやる仕草です。マラドーナとかがやってるのをよくテレビで見ます。『いつだってやめられる』でも、この仕草を頻繁に見かけます。



三部作は構成も巧みで、とてもうまくまとまっていると思います。個人的には二作目が一番好きです。一番コメディ要素が強いし、展開としてもおもしろかった。

いつだってやめられる 10人の怒れる教授たち(2017)

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二作目は、ワケあって逮捕された彼らが警察に協力することで無罪放免にしてもらえるというあるあるのやつ。かなりよく見る設定ですけれども、私は好きなので問題なし。それから古代ローマ時代の遺跡をカーチェイスしたりしているので、上記の展開と相まって、ほぼワイスピでした。違う。

お気に入りは、貨物列車を追いかけるクライマックスのシーンで、列車に飛び乗ったマクロ経済学者のバルトロメオがそのまま勢い余って反対側に消えていくというコントのような流れ。「バルトロメオが落ちた!」「すぐに助けよう!」と焦るメンバーがいる一方で、「あいつは後でいい。今はこっちが優先だ」と、あくまでも計画の実行に努める冷静なメンバーがいて、教授たちの個性も発揮されていました(結局バルトロメオ救出は後回しになる)。

他にも、一作目でドラッグ生成を担当していた計算化学者のアルベルトは、ドラッグを作りながら自分でそれを試して中毒になってしまいます。よって、二作目の冒頭ではリハビリの一環で粘土細工をしてるんだけど、粘土が柔らかすぎて思い通りの形になりません。粘土に何を混ぜているのか訊ね、その成分を聞くなり「そんなの化学的に柔らかくなるに決まってるだろ!ふざけんな!これは俺のマリア像じゃない!」とキレてリハビリを投げ出します。キレ方も論理的。



そして二作目は非常にスリリングな終わりを迎え、三作目では「そんなに深い話だったのか、これ」とびっくりの種明かし。

いつだってやめられる 闘う名誉教授たち(2017)

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ネタバレしちゃうとおもしろくないので、フィナーレの三作目については語らないでおきたいと思います。一作目に出てきたキャラクターが重要人物として再登場したりして、そのあたりも楽しい。三作目はシリアス度高めですが、クスッとなるシュールな笑いも健在。



タイトルだけでは三部作の順番がわかりづらいので、ジャケットの色で覚えておくといいのかなと思います。一作目から、ピンク→黄色→水色の順番です。邦題をつける人たちは、こういうところに気を使ってほしいよな。わかりづらい原題をわかりやすくする。それが仕事じゃないのか。



先述したバルトロメオもアルベルトもキャラが濃くて好きですが、記号学者のマッティアがかわいい(注:全員おっさん)。

夢と炭鉱の話は鉄板なのかもしれない 『リトル・ダンサー』


どうも、こんにちは。

本日はミュージカル版も大変人気のある作品をご紹介します。たぶん話が何度も脱線しまくると思うのでよろしくお願いします。



リトル・ダンサー(2000)

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1984年、イギリス北部の炭鉱の町に住む11歳のビリー(ジェイミー・ベル)は父の勧めでボクシングを習うも、あまり興味が持てずにいました。そんなある日、ビリーは偶然バレエ教室を目にし、飛び入りでレッスンに参加したのをきっかけにバレエにのめり込んでいきます。

『リトル・ダンサー』でピンとこなくても、原題の『ビリー・エリオット』なら、なんか聞いたことあるぞ!?という方もいるのではないかと思います。実際、原題のほうが世間的にも浸透しているのではないでしょうか。日本でも2017年に上演されたミュージカル版は原題が使われています。

決して裕福な家庭の生まれではない少年が夢を追いかける姿、ダンスシーンの軽快さ、そういうものが評価されているのだと思いますが、私に言わせればひとえに主人公ビリーを演じるジェイミー・ベルの輝きですよ。眉間にしわを寄せ、口を引き結んで物思いにふける非常に大人びた表情をする。いつも歯を噛み締めて何かをぐっとこらえてるように見える。だからたまに破顔すると、ぶっ飛びそうな衝撃があります。

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こんなに真剣な顔でレッスンしてる。

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こちらは小学校の授業中の一コマなんですけど、キマりすぎてませんか。前髪の流れ方とかたぶん無造作なんだろうけど、キマりすぎてませんか。

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で、この笑い方よ。11歳で、この笑い方できる?(ビリー役のジェイミー・ベルは撮影時13歳くらい)


ビリーのお母さんはすでに他界していて、同居するおばあちゃんは認知症気味。町はサッチャー政権の打ち出した炭鉱閉鎖計画に抗ってストライキ一色で、炭鉱労働者のお父さんとお兄ちゃんはもちろんストライキに参加している。息の詰まる生活の中でようやく一心に打ち込めるものが見つかったのに、男がバレエなんてみっともないからやめろ、とお父さんに言われてしまう。

そんなわけで、劇中では名言されていませんが、ビリーのダンスには怒りやもどかしさがこもっているように見えます。特にタップダンスさながらのステップは、ままならない思いをぶつけるように地面を踏み鳴らしているといった感じ。たくさんあるはずの不平不満を決して口には出さず、すべてダンスで発散している。ビリーのダンスは雄弁なんですよね。



さて、炭鉱の町に住む少年が夢を追うストーリーの映画、実は他にもあります。若き日のジェイク・ギレンホールが主演を務めた『遠い空の向こうに』(1999)は、主人公が高校生であることや、舞台が米ソ冷戦時代のアメリカ(1950年代)という違いこそあれど、基本的なプロットは『リトル・ダンサー』と共通しています。男の子は大人になったらみんな炭鉱で働くのが当たり前の小さな社会で、そこから抜け出したいと思っている主人公が自分の打ち込めるものを見つける話。

『遠い空の向こうに』はですね、ものすごくいい話なので、正直なところ人にはあまり勧めたくないのです。懐にこっそり持っておきたい。好きな映画で『遠い空の向こうに』を挙げる人は、本当はロマンチストに憧れる現実主義者という感じがします。どの口が言ってんだ。

それから『リトル・ダンサー』とまったく同じ時期のイギリスが舞台の映画もあります。先述したように、サッチャー政権時代はイギリス中の炭鉱がストライキを行なっていました。『パレードへようこそ』(2014)は、窮地に追い込まれた炭鉱夫たちと、彼らを支援するために立ち上がったLGSM(ゲイとレズビアンの活動家)の交流を描いた話です。

こちらもですね、なかなかいい話です。頑固一徹な炭鉱夫たちはゲイもレズビアンも気持ち悪いと言って忌避するのですが、彼らの嫁たちはむしろ同性愛者に興味津々で、あれこれ質問攻めにしてすぐに打ち解けます。要するにおばちゃんは最強というわけですね。



ビリー役で銀幕デビューしたジェイミー・ベルは、もう30代。芸歴は20年近いということになります。3月末には新作映画『リヴァプール、最後の恋』(2017)の公開が控えているのですが、予告映像って出演俳優の名前とともに代表作がテロップされたりするじゃないですか。それがジェイミー・ベルは『リトル・ダンサー』って出るんですよ。つまり子役デビュー作を超えるヒット作がない、と。ちょっと切なくないですか……。私は『ディファイアンス』(2008)とか結構好きなんですけどね。

ちなみに『ディファイアンス』は、第二次世界大戦中にナチスの追っ手から逃げて集まったユダヤ人コミュニティを指揮する四人兄弟の話です。実話を元に作られているのですが、このビエルスキ兄弟の不死身っぷりは目を見張るものがあります。これは完璧に死ぬフラグじゃん!っていうのが少なくとも5回はあったように思いますが、死にません。三男を演じるジェイミー・ベルは3回くらい死にかけてました。



そして、最後に。脱線に次ぐ脱線であれですけれども、言わせてください。ジェイミー・ベルは、現在スパイダーマン役で人気を集めているトム・ホランドと似ている。

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ジェイミー・ベル

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トム・ホランド

あ、ジェイミー・ベルのほうがイケメンだった。
兄弟と言われても違和感ない気がします。そこで2人の浅からぬ縁を感じるエピソードを2つご紹介。

①ジェイミー・ベルはピーター・パーカー役の候補だった?
一部ではマーク・ウェブが監督を務めた『アメイジング・スパイダーマン』シリーズの主役に抜擢された、なんて報道もされていた模様。結局アンドリュー・ガーフィールドがやったけど、きっと候補には上がっていたということでしょう。

②トム・ホランドのデビューはミュージカル『ビリー・エリオット』
もちろんビリー役です。この経験もあり、トム・ホランドはダンスが得意。アメリカの人気番組でリアーナの「アンブレラ」をリップシンクで踊ったのは記憶にも新しいところ。


背格好も似ている2人。身長が170cmくらいで細マッチョ。兄弟役をぜひやってくれ。


『リトル・ダンサー』の話、ほぼしてないじゃん。

ライアン・ゴズリングは何をしてもかっこいい


どうも、こんにちは。

先日、地上波で初放送もされた『ラ・ラ・ランド』(2016)で日本でも一躍有名になったライアン・ゴズリング。 現在、彼が主演を務める『ファースト・マン』(2018)が公開中ということで、本日取り上げることにいたしました。

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1980年生まれ38歳(2019年2月現在)のカナダ人俳優です。見ての通り、顔がいい。サッカーイタリア代表あたりにいそうだ(注:カナダ人です)。たまに三枚目もやりますが、基本的には二枚目をやることが多いです。若い頃は特に多かった。常に余裕があって焦らない。懐が深くてどっしり構えている。そんな感じが全身の毛穴から色気とともに吹き出ています。

たぶんライアン・ゴズリングは老若男女誰が見てもかっこいいと思うんじゃないでしょうか。たとえば、菅田将暉の顔は人によって好みが別れると思うけど、ライアン・ゴズリングの顔ちょっと無理だわ、って人がいたらぜひ挙手願います。

では、ライアン・ゴズリングのイケフィルモグラフィを見てみましょう(公開年順になっていないので悪しからず)。



ドライヴ(2011)

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昼はスタントマン、夜は強盗犯などに手を貸す逃がし屋として生計を立てる凄腕のドライバー役。

無口でかっこいい




ラブ・アゲイン(2011)

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冴えない中年男(主人公)に口説きのテクニックを伝授する遊び人役。

チャラくてもかっこいい




きみに読む物語(2004)

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認知症の妻に一途に愛を伝え続ける老翁の青年期の役。

一途でかっこいい




L.A. ギャング ストーリー(2012)

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事なかれ主義だけどやる時はやるロス市警の刑事役。

チャラいと見せかけて一途でかっこいい




プレイス・ビヨンド・ザ・パインズ/宿命(2012)

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類稀なるバイクのドライビングテクニックを生かして銀行強盗に手を染める役。またしてもドライバー。

チンピラでもかっこいい




ブルーバレンタイン(2010)

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倦怠期を迎えた夫婦のうだつの上がらない夫のほう。

ちょっとハゲててもかっこいい(ハゲる前は鬼かっこいい)




16歳の合衆国(2002)

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ワケあって彼女の弟を殺してしまう少年の役。

繊細でもかっこいい




どうだ、全方位に穴がない。

ライアン・ゴズリングのやる役は、たとえチャラ男でも非常に好感が持てます。「俺は下心があって君を口説いてるよ」とはっきり言うからです。下心ありまくり、むしろ下心以外何もないのに、そんなものありませんよ、何もしませんよ的な雰囲気を漂わせる往生際の悪い男とは真逆です。とても清々しい。

私は2011〜12年あたりが黄金期だと勝手に思っています。もちろん現在もかっこよさは健在ですが、ライアン・ゴズリングのイケに私の目が慣れてしまったのか、初見の頃ほどの衝撃をもって「かっこいい!!!」と感じなくなってしまいました。というわけで、正統派かっこいいのが『ドライヴ』、ワルかっこいいのが『プレイス・ビヨンド・ザ・パインズ』と考えております(異論は認めます)。

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↑『プレイス・ビヨンド・ザ・パインズ』のワンシーン。

かっこよすぎるだろ。こんな父親がいたら友達に自慢しまくるよ。チンピラだけど。顔が隠れてしまっていますが、女性のほうはエヴァ・メンデスという女優さんで、劇中の元恋人役です。のちに2人はプライベートでも結婚しました。

そして『ブルーバレンタイン』は結婚に対する理想が壊れる鬱映画として有名ですが、私は結婚とかそういうのよくわからん人間なので、『16歳の合衆国』のほうがよっぽど鬱でした。ライアン・ゴズリング演じる主人公リーランドが恋人の弟を殺してしまうのは、気まぐれでも憎んでいたからでもなく、むしろその男の子のことは実の兄姉たちよりも大切に思っていたくらいで、複雑な葛藤があったわけです。どんな事情があるにせよ、殺人を犯した時点でアウトなのですが、私はリーランドの気持ちが理解できたから観終わった後は考え込んでしまいました。

以前お話しましたけれども、『インディアン・ランナー』(1991)でヴィゴ・モーテンセンが演じたフランクしかり、私は弱くて繊細で自ら破滅に向かってしまうキャラクターに共感してしまう質のようです(過去記事参照→ヴィゴ・モーテンセンはアウトローをやってもスマート 前編 『インディアン・ランナー』)。ところで、好きな映画を訊かれて『インディアン・ランナー』とか言っても誰もわからないだろうし、わかったとしてもドン引かれる気がするんですけど、どうでしょう。

(2019 , 3, 19追記)
そういえば、70年代後半に人気を博したイギリスのバンド、ジョイ・ディヴィジョンのボーカルのイアン・カーティスにフォーカスした映画『コントロール』(2007)も好きなんですよ。すっごい暗いし、バンドそのものがイアン・カーティスの自殺によって解散したので、映画の終わりもそんな感じでまったく救いがないんですけど、なんかそういうどうしようもないの、好きなんだわ……。たぶんこればっかりは好みなんだわ……。




さて、もうすぐ40代に突入するライアン・ゴズリング。俳優としても円熟期を迎えて更なる活躍が期待されるわけですが、ビジュアル面でも渋さが増してヴィゴ・モーテンセンのようなイケオジになることを私は期待しております。

『ラ・ラ・ランド』で共演したエマ・ストーンとは、『ラブ・アゲイン』『L.A. ギャング ストーリー』でも実はすでに恋人役で共演済み。たぶん、これからも、共演する。

トークがキレキレに冴えてる 「2018 MONSTA X WORLD TOUR CONNECT IN SEOUL DVD」


どうも、こんにちは。

モネクの2ndワールドツアー(通称ワルツ)のDVD買っちゃった!買っちゃったよ!届いた日に即行でシンソッキで観たわけなのですが、いやあ、おもしろかったな。ライブに行った気になれて満足です。ということで「2018 MONSTA X WORLD TOUR CONNECT IN SEOUL DVD」の感想を心の赴くままに書き連ねたいと思います。

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まず一通り見終えた後のざっくりとした感想です。

・アルンダウォ(Beauthiful)でなんでジャケット脱がねえんだよ
・全体的に衣装がかなりダサめ(例:ミニョクのくいだおれ太郎ジャケット)
・一番かっこいいのがライブTシャツってどういうこと
・MCが予想の3倍くらいおもしろい
・シンソッキ(RUSH)をオリジナルバージョンでやってくれてありがとうな(合掌)
・最高だとは聞いてたけど、やっぱり最高だった暴雨

上記6つのうち半分が衣装問題なのは申し訳ないんですけれども、それだけ衣装に難があったと思ってください。MCでキヒョンが「ライブで大事なのは安全!」と言っていましたが、衣装も大事ですよ。関係者各位には肝に銘じてほしいです。

さて、アイドルのライブでは、最初にカッチリ決めた衣装で登場して、大体5曲くらい歌ったらジャケットを脱ぐ、というのがよくあるパターンだと思います。今回のソウル公演の3曲目に配置された「Beautiful」という曲には、モネクのファンならご存知の通り、もともとジャケットを脱いで舞台袖に投げる振付が入っています。これを利用すれば、公演の流れをぶった切ることなくスマートに衣装チェンジができます。

なのに、脱がない。

なぜだ。なぜなんだ。ちょっと、脱がなかった理由を教えてほしい。最初の衣装が7曲くらい続いて、2つ目の衣装はたった2曲しか使わなかったのもバランスが悪すぎる。そしてちょうど後半にさしかかったところの、ミニョクのシルバーと赤(たぶんスパンコール)のストライプのジャケットは忘れないぞ。日本のファンは全員くいだおれ太郎がよぎったでしょ。あれがもしボーダーだったらウォーリーか楳図かずおだからな。結果、アンコールで黒のライブTを着て出てきた時は本当に安心しました。モネクは無骨なチンピラ感が真骨頂だし、みんなTシャツ似合うから。Tシャツって骨格が出るから、いいよね(邪心)。



では次の議題に参りましょう。MCについてです。とりあえずひとつ気になったことがあります。

MC多くね?

その数、3時間ほどの公演の中で7回。他のアーティストの平均がどれくらいなのかはわかりませんが、多いというのは断言していいはず。そして私は感動しました。だってそのMCがおもしろいんだもの。

正直に申し上げまして、MCがおもしろいKPOPアイドルにはあまりお目にかかったことがありません。KPOPアイドルのみなさんは日本に来ると頑張って日本語を話そうとするので話はどうしてもつまらなくなりがちだし、そうでなくてもおもしろくない場合が多い(おい)。おもしろいと言えそうなのは、BIGBANG、SuperJunior、BTOBあたりでしょうか。それでもスジュやビトビは降りてくる型のお笑いだし。おそらくですが、韓国にはボケとツッコミの文化がないんですよね。天丼という基本的なお笑い方程式も、たぶんない。

いや、そもそもアイドルやアーティストにMCのおもしろさを期待するのが間違ってるのかもしれません。日本の歌手だってMCがおもしろくない人はたくさんいるし。だけどモネクはおもしろかった。私は彼らのライブはおろか、ファンミーティングなどにも参加したことがないので、これは発見でした。

ではメンバーひとりひとりの印象を簡単に。

ウォノってこんなに陽気だったっけ
ジュホン強火オタクのミニョク
ビートボックスによる息切れで死にそうなヒョンウォン
カップルダンスもスペシャルステージもペアを組むのを全員から拒否されるキヒョン
すっとこどっこい通常運転のショヌ
ラップだけじゃなくて歌もビートボックスもうまいジュホン
アイエムはモネクの中で一番ヒップホップ

いやあ、キャラ立ちしてますね。

まずはウォノヒョン。個人的に、彼は筋トレ大好きでムキムキなのに繊細で面倒くさいヒョンというイメージがあったのですが、どういうわけかソウル公演では冒頭からテンション高く陽気にしゃべり倒しています。意外な一面を見ました。次に、我が推しのミニョク。1歳下のジュホンくんを本人がうざったがるほど可愛がっているのは普段からですが、ソウル公演でもことあるごとにデレデレちやほやしています。

グループで最長身でありながら、おそらく体重は最軽量であろうペラペラガリガリのヒョンウォンは、ジュホンの次にビートボックスがうまいので、MCの流れでビートボックス担当になるんだけど、自他共に認める体力のなさで倒れそうになっています(そのうち肺気胸とか患いそうで心配)。小言が多い、神経質、ぶつぶつ文句を言いながら掃除をするなど、更年期のおばちゃんかよというような性格のキヒョンは、ライブでも散々いじられ、本人もまんざらではない様子。自分大好きのナルシストだから注目を浴びれればたぶんそれでOKなんだと思う。

いつもマイペースでのほほんとしているリーダーのショヌヒョンも、良い意味でいつも通りです。ぼそっと言う一言がものすごくじわる。そんなリーダーと一緒にブルーノ・マーズの「Versace on the floor」のカバーステージを披露したラッパーのジュホンは、「できないことがない」とメンバーから言われるほど歌も抜群にうまかった。かっこ良かった。そして最後に最年少のアイエムくん。自作曲のソロステージを披露した時には「お前が真のヒップホップだ!」とメンバーがべた褒め。モネクでは年下組のジュホンとアイエムを年上のメンバーが褒めちぎる光景が頻繁に見られます。

余談ですが、韓国社会では年が1つでも上の人には敬語を使うのが基本なんだけど、モネクはそこのところがかなり特殊で、最年少のアイエムが全員にタメ口をきいてるんですよね。しかもそれを誰も嫌がらない。むしろ「敬語使われると距離を感じるからタメ口にして」なんて言ったりする。更年期のオカンことキヒョンは「僕は保守的な人間なので礼儀にはうるさいです」とか言ってるけど、彼は挨拶や公共でのマナーにうるさいタイプのようなので、信頼関係のできている間柄でのタメ口なら抵抗がないようです。

ちなみに、舞台袖にあったショヌヒョンのヴェルサーチ衣装を「高い服だ」と言っておもむろに羽織るキヒョンは大阪のおばちゃんみたいだった。



MCの話はこれくらいにして、次行きますね。私が大好きなシンソッキ(RUSH)は、ライブやイベントではロックバージョンなどアレンジしたものをやることが多かったのですが、ソウル公演では初心に戻ってオリジナルバーションでやることにした、と話していました。本当にありがとう。いい時間でした。だが最後のサビのミニョクがセンターに来るところでカメラを引いたのは不満です。以上です。

そして最後に、今回のワルツでこの話を避けては通れまい。「暴雨」について!

アルバムが出た時は暴雨を聴いてもあまりピンと来なかったんですが、ツアーの終盤でこの曲をやったこと、一回終わったと思ったらまた始まり、何度も曲がかかって大盛り上がりしたという情報をSNSにてリアルタイムで得た時、私はSuperJuniorのロックスターを思い出しました。チケット取ったからと友達に誘われて言ったスパショ、めちゃめちゃ楽しかった。それを思い出したら、普段はイベントとか別にいいやって感じなのにものすごくワルツに行きたくなってしまった。結局行かなかったけど。

ただ、日本公演では暴雨をやらなかったみたいですね。去年は台風やら何やらで大規模な水害があったので、メンバーや運営が配慮したようです。こういう気遣いはとてもすばらしいですけれども、日本のファンもみんなやりたかっただろうな。私も参加組だったら「なんでやらないの……頼むから縦ノリさせて……」ってなると思う。だから次回のワルツでもぜひ暴雨は組み込んでほしいですね。これからツアーの定番曲にしてほしい。

あと暴雨と同様に「special」もアルバムではあまりピンとこなかったけど、でっかいハコで爆音でやると全然違いました。モネクはそういう曲が多い。この2曲に共通するのはサビに歌詞がないこと。一番盛り上がるところでメロディだけになるって尖ってますよね。同様の曲はぱっと思いつくだけでも、他に「HERO」「Be quiet」「Now or never」があります。どれも重低音がバリバリに効いたゴリゴリのヒップホップです。

私は映画の『ワイルドスピード』シリーズ(特に1、2あたりの初期作品)とか『ロード・オブ・ドッグタウン』とか好きなんですけどね、何が好きって、アンダーグラウンド感というのか、治安の悪そうな感じです。そういうのがモネクの曲にもあるから好きなんだと思います。ほら、年下にタメ口を許してるのも、アンダーグラウンド感あるじゃん。



以上、自己満足で長々と書き連ねました。全体を通して「お客さんと一体になって楽しむ公演」という印象を強く受けました。「お客さんを楽しませる」ではなく、あくまでも一緒に楽しむ。だからこそ頻繁にMCを挟んでコミュニケーションを取る構成だったのかなと思います。途中のVCRでもメンバー同士のQ&Aをやっていて、ファンが望むことを理解してやってるな〜わかってんな〜と感心しました。

未購入の方、ちょっと気になってるという方、買って損はありません。5、6千円で手に入りますので、それだけの価値は十分あります。これから観る方々のためにMC中の具体的なトーク内容は載せませんでした。どうぞご自身の目でお確かめあれ!



VCR内でキヒョンがつけてる腕時計がトリワのファルコンだったので、おっ!と思いました。私も同じの持ってる。

自称スパイの乳母は天才写真家 『ヴィヴィアン・マイヤーを探して』


どうも、こんにちは。

本日取り上げるのは、ドキュメンタリーでありながらミステリーでもあり、まるで世界ふしぎ発見的な雰囲気のある珍しい作品です。ずっと気になっていたのですが近所のツ○ヤになく、探して探して先日ようやく観ることができました。



ヴィヴィアン・マイヤーを探して(2013)

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2007年、シカゴ在住の青年ジョン・マルーフはオークションで大量の古いネガフィルムを手に入れます。写真の撮影者の名前は「ヴィヴィアン・マイヤー」。あたたかく、力強く、そしてどこか不穏な雰囲気もある写真の数々に魅力を感じたジョンは、ヴィヴィアン・マイヤー探しに乗り出します。

映画の趣旨は、写真家ヴィヴィアン・マイヤーという人物について迫っていくというものです。ネガの発見者ジョン・マルーフはヴィヴィアンとは赤の他人なのだけど、なんだか、おばあちゃんの家で古い写真を見つけて、そこに写ってる人や誰が撮ったのかが気になって調べ始める孫、みたいな趣きがあります。ライトノベルかアニメかというような、ごりごりにフィクションっぽい設定。しかしこれがドキュメンタリーというのが、事実は小説よりも奇なり、とはまさに。

予告でも示されていますが、ヴィヴィアン・マイヤー本人はすでに他界してしまっているため、彼女を知る人々へのインタビューを中心に構成されています。ヴィヴィアン・マイヤーは、乳母、家庭教師、家政婦などをして生計を立てていました。インタビューで話をしているのは、彼女が勤めていた各家庭の親子が多くを占めます。彼らから語られるヴィヴィアンの印象は大体以下のような感じです。

・物が捨てられない人
・エキセントリック
・内向的
・ユーモアがある
・大女(「2メートルくらいあったんじゃないの(笑)」とか言われてる)
・腕を大きく振り、大股で、早足で歩く
・体型を隠すようにいつも厚手の服を着ている

内向的ではあるけどユーモアのある愉快な人で、世話をしていた子供たちからは好かれていた、という言葉もありました。デパートのお菓子売り場の試食をごっそりもらって出禁になったり、親ならやらないような冒険を彼女は子供たちと実行していた、と。それから服装については散々な言われようで、「ソ連の工場労働者のような格好」「1920年代に流行ったような格好」というように遠回しにダサいと評されています。

序盤は彼女への肯定的な意見を中心に語られますが、ほぼ全員が口を揃えていたのが「ミステリアス」「謎が多い」という部分。映画が進むにしたがって、次第に彼女の不可解な言動の数々が浮き彫りになってきます。それらの一部をご紹介します。


①偽名を名乗る
苗字をスミスと偽ったり、本名のマイヤーにしても、何種類かの綴りを使っていたり、商店で品物の取り置きを頼んで名前を聞かれても「答えたくない」と言ったり、かなりパンクな姿勢を見せるヴィヴィアン。ある時は「なぜ本名を教えてくれないのか」と問われて「スパイだからよ」と返答する始末。


②変な訛りの英語
「フランス人だけど流暢な英語を話す」
「英語の発音を練習した結果、フランス訛りからは少し遠ざかった感じ」
「イントネーションが上がったり下がったり、妙な抑揚がある」

ヴィヴィアンの話す英語は訛りがあり、ほとんどの人が彼女のことをフランス人だと思っていました。しかし、彼女の知り合いの1人である言語学の博士号を持つ男性は「彼女のはニセのフランス訛りだよ」と証言。結果から言ってしまうと、なんと彼女はニューヨークで生まれ育ったアメリカ人でした(!)。にわかに現実味を帯びてくるスパイ説。


③冷酷な一面
ヴィヴィアンは新聞好きで、特にグロテスクで不条理な事件の記事を好んで読み、心温まる記事には無関心でした。それを象徴するように、自分が面倒を見ていた子供が車にひかれた際には、ここぞとばかりにカメラのシャッターを切っていたというエピソードまで飛び出します。他にもヴィヴィアンの撮った写真の中には、猫や馬の死骸、道端に倒れた人、路上に座り込む義足の男性の姿を捉えたものなどがありました。



謎が謎を呼び、深まり続けるミステリー。上に記した以外にも、ヴィヴィアンの謎はまだまだあります。はっきり言って、劇中ですべての謎が解けるわけではありません。彼女がどんな人物だったのかも気になる部分ですが、彼女の撮った作品がすばらしいのは動かない事実なので、すべてを解き明かす必要はないということでしょう。むしろ無理に闇に切り込まずに暗黙のアンタッチャブル事項として据え置かれるのも、それはそれでおもしろい。個人的には、ヴィヴィアンが使っていた貸し倉庫に数千本のフィルムが未現像のまま残っていた、なんていうのもかなりスリリングじゃないかなと思います。だって撮影した本人はそれがどんな風に写ってるのか見てないわけだから。

おばあちゃんの遺品について調べる孫みたいな趣きの映画だと先述した通り、古めかしさというのか、ノスタルジックな雰囲気が全体的に漂っています。乳母の仕事は収入が少なく、ヴィヴィアンは健康保険や生命保険の類に入っていなかったようです。それについて不安はないのかと雇い主から尋ねられた彼女の「貧乏すぎて死ねないんです」という発言は、なんだか太宰や漱石のような感じがありますな、と勝手に胸が熱くなってしまいました。私は日本近現代文学のどんよりした暗さが好きだから。



さて、ここからちょっと重要なネタバレ含むので、大丈夫な方だけ以下お読みください。ヴィヴィアンの謎その②「変な訛りの英語」について、言語学的な観点から考えました。



近所の人や雇い主までもがヴィヴィアンのことをフランス人だと思っていたのに違った、ニューヨーク育ちのアメリカ人だった、というのは先ほど申し上げました。ではなぜフランス人だと勘違いされるような話し方をしていたのか。これはヴィヴィアンの母親がフランス人だったことに起因します。

父親はアメリカ人のようなので、要するにハーフなわけですが、父親とは早くから縁が切れていて、ヴィヴィアンはずっと母親と2人暮らしでした。近所との交流や親戚付き合いも全くなく、おまけにヴィヴィアンはフランス語ができました。流暢に話せるだけでなく、読み書きまでしっかりできたことが判明しています。もちろん学校には通っていたはずですけれども、ヴィヴィアンが主に耳にしていたのは母親のフランス語とフランス語訛りの英語だったということになります。つまりネイティブの英語に触れる時間があまりにも少なかった。こういう環境にいると、何が起こるか。

一般的に言えば、ヴィヴィアンは英語とフランス語のバイリンガルです。しかし、彼女の場合はダブルリミテッドだったのではないかと推測できます。ダブルリミテッドというのは、二ヶ国語が話せるけど、どちらも母語と言えるレベルまで達しないことです。語彙が少なかったり、細かい発音のしわけができなかったりします。母語(第一言語)が発達する前に複数の言語を詰め込んでしまうと、母語がきちんと身につかないわけですね。親が子供を無理やりバイリンガルやそれ以上(マルチリンガル)に育てようとしたり、親の都合で海外暮らしをすることになった子供が十分な教育を受けられない場合でも、ダブルリミテッドになる恐れがあります。

余談ですが、この手の話で最近少し心配になったのが、俳優の水嶋ヒロと歌手の絢香夫妻の娘の話です。2人は娘にバイリンガル教育をしているらしいのですが、その子が片言の日本語を話すというのを水嶋ヒロがSNSで言っていたのです。あと滝沢カレンのすっとこどっこいな言葉遣いも、ひょっとしたらダブルリミテッドなんじゃないのか、と私は疑っています。彼女のお母さんは日本語学校の先生だとか通訳だとかいうのを聞いたことがある……。



少々話が逸れましたが、私は自信を持って本作をおすすめします。写真もアートもよくわからないし、ドキュメンタリー映画って眠くならない? という人も、きっと楽しめます。だって、ミステリーだもん。