モネクのジャンプスーツについて考える 【『SHOOT OUT』と『Fighter』の類似性】
どうも、こんにちは。
モネクことMONSTA Xが2nd full album『TAKE.1 ARE YOU THERE?』をリリースしたので、本日はモネクのお話です(過去のモネク記事もあわせてどうぞ→「モネクはやっぱりシンソッキがいい」)。

今回は、とてもいい。曲もMVも衣装もかっこいい。アルバムとしてもいい。特にタイトル曲『SHOOT OUT』のジャンプスーツの衣装は神がかってる(韓国の音楽番組あるあるだけど、酔いそうなくらいカメラが動くのと、背景や床のビジョンがやかましいのは改善してほしいですね。もっとシンプルに映してくれればいいんだよ)。
最初は、歌詞についてはそれほど特筆すべきこともないかなと思ったのですが、バリバリありました。
先日わたしは『不汗党』(2017)の記事を書きました。詳細はこちら→「コリアンポップノワール映画の原題には隠れた意味がある? 『名もなき野良犬の輪舞〈原題:不汗党(プランダン)〉』 」
あれから実はさらに3回観まして、もう尾を引きすぎてあかんことになってます。そんな不汗党脳で『SHOOT OUT』を聞いたら、完璧にジェホ → ヒョンスの歌詞じゃん……と思ってしまった。
「邪魔者になってしまった俺は君の前に倒れる」
「君は躊躇せずに行け」
「半分魂が抜けたまま重い足を引きずって歩く」
「俺のためにShoot-out 一発でShoot-out」
「今 君の口で終わりという言葉を俺の心臓に撃ってくれ」
「こんな地獄みたいな希望を終わらせてくれ」
すごい。今回の曲にはノワールが詰まってるぞ。
ここまで無骨な楽曲を発信してくれるグループって、他にはない気がします。大抵のKPOPアイドルさんは、キラキラ路線か、おしゃれ路線か、芸人路線か(え?)なので。モネクはどれかというと芸人寄りではありますが、デビュー以来の無骨なスタイルは今もきちんと貫かれていると確信しました。モネクおしゃれサウンドになるの巻もあったことにはあったんだけど、根幹はぶれてない。
はい。ではこれから本題に入ります(前置きが長くて申し訳ない)。
モネクは2016年から2017年にかけて、3rd mini album『THE CLAN Part.1 LOST』、4th mini album『THE CLAN Part.2 GUILTY』、1st full album『THE CLAN Part.2.5 The Final Chapter BEAUTIFUL』と、3作続きで「X CLAN」というものをテーマに掲げていました。CLANの意味するところは「一族」です。
KPOP界ではここ数年、謎解きプロモーションがやたらと流行っていて、ファンのみんな!分析してくれよな!と言わんばかりにショートフィルムチックなプロモーション映像やMVをこぞって作っています。モネクさんもその時代の流れに乗っかり、このようなしゃらくさいコンセプトを採用したのだと思われます。
おそらく「X CLAN」は絶滅しかけている血族、あるいは同じ目標・目的を掲げる同志、何かしらの共通点を持って集められた青年たち、そんな感じのやつだったのですが、ふわふわしすぎてて結局よくわからないまま幕を下ろしました。というか、もはや幕が下りてるのかすらよくわからない。もしかしたらまだ終わってないのかもしれない。それくらいあやふや。
どういうことかというと、3部作のパート1、つまり3rd mini albumのタイトル曲『ALL IN』は一族というテーマがちょっぴりうかがえるショートフィルム仕立てのMVだったのに、パート2である4th mini albumのタイトル曲『Fighter』は、なんこっちゃわけわからん謎MVだったのです。制作側は、たぶんストーリーを構築するのを放棄したな。MV貼るね。
これは笑わずにはいられないでしょ。
『Fighter』はMVが謎すぎることに加えて、ダンスの振付がダサい、衣装がダサい、以上三拍子揃った非常にお粗末な活動でした。しかしですね、曲自体はすごくパワフルで、『Fighter』というタイトルの音楽は世に数多くあれど、その中でも一番じゃないの?ってくらいに「Fighter」っぽさが詰まっています。つまり私は『Fighter』が好きだし、この曲でこそジャンプスーツを着てほしかったよ、と声を大にして言いたいわけです。歌詞の内容はこんな感じ。
「君のためならどんなことでも耐えてみせる 覚悟したから」
「こんなに必死になったのは生まれて初めてなんだ」
「倒れても絶対に諦められない」
「俺の女神よ 勝利をもたらしてくれ」
パッと見ではただのラブコールかもしれないけど、比喩だとしたらどうでしょう。「君」は「女神」と言い換えられてもいるし、恋人のような近しい存在でなくてもいいはず。憧れの人、自分の指針になる人、メンター、そういう人が女性であれば、「俺の女神」と表現するのは少しも不自然じゃない。それから、たびたび歌詞に「champion」という単語が登場するのですが、これは「優勝者」という意味だけでなく「擁護者、推進者」という意味もあるし、動詞としても同じような「擁護する、支持する」という意味があります。
そんなわけで、ボクシングや格闘技のような肉体を駆使する物理的な戦いではなく、何らかの運動という意味での闘いを描いてもよかったのでは? と個人的には思っています。例えば、かのガンジーやキング牧師が先導した暴力に訴えない権利闘争みたいなものとか。あるいは抵抗運動をするレジスタンスのような。
MVは、メンバーの誰か(複数名でも、あるいは全員でも)が何かの組織に捕らえられて、尋問や拷問を受けても決して屈さず、仲間を売らず、何度でも立ち上がって最後に隙を見て脱出っていうストーリーにしたらよかったのにね。というか『SHOOT OUT』のMVはそのまま『Fighter』のMVとしても行けるよな。
ちなみに、以前『ズートピア』(2016)のオマージュの話をちらりとしましたが(こちらの記事参照→「美青年は永遠だ【90年代キアヌ・リーヴス&盟友リヴァー・フェニックス編】」)、『ALL IN』と『Fighter』のMVにも、絶対『ズートピア』を意識してるでしょっていう要素があります。
『ALL IN』ではメンバーが青い花から精製した液体を飲むシーンが、『Fighter』ではその青い花を栽培している場所の映るシーンがあります。これ、『ズートピア』に登場する「夜の遠吠え」を栽培してるところにそっくりなんだよね。『ズートピア』の公開は2016年2月、『ALL IN』のMV公開は同年6月、『Fighter』のMV公開は同年10月です。たぶんオマージュなのはほぼ間違いない。
名誉や権利、未来のために命をかけて闘うみたいなやつ、個人的にすごく好きなので、モネクにはずっとこの路線で行ってほしい(でもやっぱり一番好きなのはシンソッキ)。
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