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気晴らし細論

2018年02月の記事

トム・ハーディはハードボイルドの申し子かよ


どうも、こんにちは。

本日ようやく『レヴェナント:蘇えりし者』を観まして、そっちの記事を書こうかと思いましたが、先にこの男に触れておかなければならないなと。

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泣く子も黙るハードボイルド俳優、トム・ハーディ。1977年生まれ40歳(2018年2月現在)のイギリス人俳優です。


ハードボイルドの定義は難しいですが、ここでは「よくも悪くも己の信念を曲げず、そのためには罪を犯したり暴力を振るうこともいとわない精神的肉体的な強靭さを持ち、決して権力になびかない。考えや感情は言葉よりも行動で示すタフガイ」というように理解してもらえればよいかと思います。


トム・ハーディはびっくりするくらいタフガイ役しかやらない。私がこれまでに観た彼の出演作と、その役柄を以下列挙します。

・マッドマックス 怒りのデスロード(2015)…元警官
・ダンケルク(2017)…空軍パイロット
・レジェンド 狂気の美学(2015)…双子のギャング(一人二役)
・欲望のバージニア(2012)…不死身
・ウォーリアー(2011)…元軍人
・ブラック&ホワイト(2012)…CIA
・裏切りのサーカス(2011)…スパイ
・ダークナイト ライジング(2012)…テロリスト


民間人率の低さな。権力、悪、金、名誉、常にそういうものと闘っています。彼は「男らしさとは」という答えの中を生きてるよね。ヒーロー側にせよ、悪役にせよ、大抵一貫した信念を持つ役をやっています。



中でも一番おすすめしたいのは、『欲望のバージニア』です。

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冒頭で不死身の三兄弟の次男とフラグが立って紹介されていますが、マジで不死身だった。まさにハードボイルドの権化。しびれる。かっこいいトム・ハーディが観たかったらまずこの作品。キャストも豪華で飽きません。ただ非常に暴力的な作品なので苦手な方は要注意です。


不死身繋がりでいうと『レジェンド 狂気の美学』の双子の演じ分けは見事でした。兄のレジーは声が高くて気持ち悪い。弟のロンのほうは鼻がちょっと曲がっているように見えたんですが、特殊メイクでなく表情筋だけでやってるとしたらすごいよ。

それから『ウォーリアー』では総合格闘技の大会に出場する元軍人役ですが、決勝戦まで全部秒殺です。強すぎて笑ってしまった。


地上最強じゃないかと思えるくらいのしぶとさだけどね、たぶん本人はめちゃくちゃチャーミングだと思う。『マッドマックス 怒りのデスロード』のメイキング映像で「爆走する車の先に括り付けられるの怖かったよ〜」と証言するトム・ハーディはめちゃかわでした。

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なんかよくわかんないけど犬が大好きらしい。

鋼の肉体にかわいい笑顔というギャップを世の女性はほっとかないし、この人は絶対に男にも好かれる。純粋に男としてかっけー!ともなるだろうし、ゲイ人気も高いだろうし、つまり人類みなトム・ハーディが好きでしょ?



若い頃はちょっとスリムでまたかっこいいんだこれが。

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マイケル・B・ジョーダンにはキュートとクールが混在する


こんばんは。

すでに世界中で大ヒットを記録している『ブラックパンサー』の日本公開が迫っていること、みなさんご存知でしょうか。マーベル初の黒人ヒーロー作品ということで、キャストのほとんどが黒人俳優でかためられており、大変な話題となっています。

ヒーローものには欠かせないのが悪役ですが、『ブラックパンサー』で悪役を務めているのは、マイケル・B・ジョーダンです。

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1987年生まれの31歳(2018年2月現在)のアメリカ人俳優です。

たれ目がかわいいし、いい人感が満載でしょ。育ちのいい好青年を演じることが多い気がします。悪役をやるのは珍しいはず。でも細マッチョだから悪役も絶対かっこいい。黒人さんって筋肉のバランスがいいというか、ムキムキでも全体的にはシュッとしてるのがかっこいい。マイケル・B・ジョーダン、かっこいい。

というわけで、マイケル・B・ジョーダンのかっこよさがたっぷり楽しめる作品を3つご紹介します。



クリード チャンプを継ぐ男(2015)

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言わずと知れたボクシング映画『ロッキー』の新章です。ロッキーがかつて自分のライバルだったボクサー、アポロの息子を指導するというストーリーです。マイケル・B・ジョーダンはもちろんアポロの息子アドニス役です。

かつてライバルだった男の息子をボクサーとして育て上げるってだけで面白いに決まってるのに、中盤でロッキーがガンを患っていることが判明し、アドニスはリングで闘い、ロッキーは病と闘うという展開がアツい。

長年ロッキーの勇姿を見守ってきたファンはもちろん、そうでない若い世代も楽しめます。私自身、ロッキーシリーズはひとつも観たことないんですが、感動しました。こっちを観てからロッキーを制覇するっていう楽しみ方もあるのではないかと思います。続編の製作が決定しているということなので、近いうちにまたアツい二人の姿を見ることができます。

アドニスの鍛え上げられた肉体、闘志みなぎる表情、すげーかっこいいから、みんな観て。



フルートベール駅で(2013)

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白人警官が無抵抗の黒人青年を射殺したという実際の事件を扱った作品です。マイケル・B・ジョーダンは、その黒人青年を演じています。

青年は前科持ちですが、出所してからは愛する家族のために懸命に堅気の仕事をしています。自分が休みの日でも、勤めているスーパーマーケットで困っている客を見つけたら親切にしたり、野良犬が車に轢かれたのを目撃して涙を流したり、非常に心優しい若者です。しかし無情にも、ある悲劇に巻き込まれてしまいます。

実際に起きた事件だけに観ててつらいものがありますが、それは未来ある若者の等身大の姿をマイケル・B・ジョーダンが丁寧に演じているからなのかなと思います。

この作品の監督は『クリード』『ブラックパンサー』の監督でもあるライアン・クーグラーです。マイケル・B・ジョーダンとは黄金タッグと言えそう。



恋人まで1%(2014)

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いい感じの相手はいるものの、まだ遊びたい、自由でいたいという思いからステディな関係になることを避け続けているろくでなし男の話です。主人公のろくでなし男ジェイソンを演じるのはザック・エフロンで、マイケル・B・ジョーダンはその友人のマイキー役です。

ジェイソンとマイキー、そしてダニエル(マイルズ・テラー)は大学からの親友でいつもつるんでいます。3人の中でマイキーは唯一の既婚者で、特に女性関係においてはモラルが欠けがちな他2人とは違い、かなりまともな常識人です。妻に「こんなに窮屈な人だとは思わなかった」と言われるほどに(しかも妻には浮気されて離婚を切り出されるので悲しい限り)。

しかしジェイソンが「大学時代に俺が好きだった女はみんなお前が好きだった」と言うように、マイキーはとてもモテるようです。冴えない非モテ男というわけではなく、単純に一途で誠実な男ゆえの硬派な言動ということです。おまけに医者なので賢いしお金もあるし最高ですね。個人的には3人の中では比べるまでもなくマイキーと付き合いたい。



以上、いかがでしたでしょうか。ボクサー役の時の肉体がかっこいいのはもちろんですが、他の作品の時でもかっこいい体してます。たぶんそんなに鍛えてはいないんでしょうけどね、やっぱりシュッとしてる。

『ブラックパンサー』の公開は3月1日です。私はマイケル・B・ジョーダンを拝みに劇場へ行きます。

欧米人の好きな複雑アピール


どうも、こんばんは。

洋画でよく耳にするフレーズで「It’s complicated.」というものがあります。直訳すると「複雑です」となりますが、ニュアンスは「事情があるのさ」といった具合でしょうか。多くの場合、人間関係を表現する際に使われるようです。イーサン・ホーク主演のTAPE(2001)においては「話せば長い」と訳されていました。こういう言い方なら日本語でも非常によく使いますね。

A子「そういえば彼とはどうなったの?」
B美「うーん、ちょっとね。話すと長くなる」

うん。ありがち。

というわけで「It’s complicated.」というセリフについて考えたいと思います。



キル・ユア・ダーリン(2013)

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アメリカの詩人アレン・ギンズバーグの学生時代の実話をもとにした話です。コロンビア大学に入学したアレンは、ルシアンという上級生と知り合って意気投合し、講義そっちのけで創作活動や夜遊びにふけります。(この作品は過去にも紹介しているので気になる方はこちら「大概は聞き流すけど、たまたま気になった劇中曲の話」

「It’s complicated.」は劇中に2回出てきます。まず1回目のシーン。アレンの母は精神状態が不安定で統合失調っぽい感じです。その母との約束をすっぽかしてしまい、まずいぞと慌てるアレンにルシアンが事情を尋ねる場面です。

アレン「It’s complicated.」
ルシアン「Perfect. I love complicated.」


ルシアンのセリフは「いいから話してみろよ」というニュアンスですね。ルシアンは口のうまい男なので、こういうセリフがぽんぽん出てきます。

2回目は、このシーンの次のチャプターです。ルシアンには何やらあやしい関係の年上男性の存在があり、ルシアンは彼に大学の課題の論文を書かせるなどして利用しています。そのことをアレンに問いつめられ、次の会話。

ルシアン「It’s complicated.」
アレン「I love complicated.」

一回目の会話とは二人の立場が逆になりました。このルシアンの「It’s complicated.」には「深いワケがあるから、何も知らない奴がとやかく言うな」という感じのニュアンスがあります。しかしアレンが同じ言葉を発した時、ルシアンはそれで話をうやむやにすることを許しませんでした。アレンからすれば、ルシアンに「複雑なんだ」と言われても「だからどうした?」って感じでしょうね。



アメイジング・スパイダーマン2(2014)

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アンドリュー・ガーフィールドがスパイダーマン/ピーター・パーカー役を務めたシリーズの2作目です。

ピーターは幼なじみのハリーと数年ぶりに再会し、彼女はいるのかと尋ねられます。ピーターはシリーズ1作目で付き合っていたグウェンと2作目の冒頭で別れていましたが、まだ彼女への思いが捨てきれずにいます。そこで次の会話。

ピーター「I don't know. It’s complicated.」
ハリー「I do not complicated.」

これは「It’s complicated.」の使用例として一般的な会話だと思われます。注目すべきは、『アメイジング・スパイダーマン2』のハリー役はデイン・デハーンで、彼は前述した『キル・ユア・ダーリン』のルシアン役でもあるということ。

かたや「面倒くさいのが好き」と言い、かたや「面倒くさいのは無理」と言ってるんですよ。わかってます。セリフです。彼は言わされてるだけなんですけど、めちゃくちゃ熱くないですか?



恋するベーカリー(2009)

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これに至ってはタイトルになってしまっています。邦題は上記の通り「恋するベーカリー」ですが、原題は「It’s complicated.」なんです。

夫の浮気が原因で離婚した夫婦が、10年の時を経てどういうわけか出会った頃のような情熱を思い出し、復縁しちゃう?的な話です。夫のほうは再婚していて若い妻と幼い息子がおり、元妻のほうは新しく知り合った男性とちょっといい感じになっています。いかにも「It’s complicated.」。

しかしその面倒くさい惚れた腫れたをやるのが二十代そこそこの若者じゃなくて、中年から初老にかけての男女というのがなんともハリウッド的ですよね。日本映画では絶対にない。



「It’s complicated.」

恋愛が絡んでくる映画には3本に1本くらいの確率で出てきます。洋画を観る際にはぜひ探してみてください。

キーラ・ナイトレイの歌声もいいけど衣装もいい『はじまりのうた』


こんばんは。

本日取り上げるのは、キーラ・ナイトレイが美しい歌声を披露したことや、世界的人気バンド、マルーン5のボーカルであるアダム・レヴィーンが出演したことなどが話題を呼んだこちらの作品。


はじまりのうた(2013)

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落ち目の音楽プロデューサーが場末のバーで歌っていたシンガーソングライターの才能に惚れ込み、アルバムを作ろうと持ちかけるところから始まる話です。

前述したトピックがあったり、劇中歌の『Lost Stars』がアカデミー賞歌曲賞にノミネートされたりと、監督のジョン・カーニーは音楽をフィーチャーした作品を撮る人なので、音楽面で注目を浴びるのは願ったり叶ったりかもしれません。しかし注目すべきは音楽だけではない。

ヒロインのグレタ(キーラ・ナイトレイ)のファッションがおしゃれ。私はファッションや流行にはあまり詳しくないのですが、良いか悪いかはわかる。グレタの衣装はいい。マニッシュで小粋。まずはメインポスターのファッションに注目しましょう。

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全体的にかなりラフなコーディネイトですが、オックスフォードシューズが引き締め役になってますね。まったく飾り気のない男前のデザインなのが潔い。すげーかっこいい。

グレタの衣装は、基本的には「スッキリしたトップス×太めのパンツ」というスタイルです。たまにワンピースも着ています。

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ベビーピンク×ライトグレーの配色は鉄板。

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関係ないけど自転車のカゴもかわいい。

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超おしゃれじゃない?

ブラウンのショルダーバッグ、黒のベルト、ライトグレーのパンツ、ブラウンのローファー、トングサンダルなど、着回しているものが多い点も現実味があっていいと思います。一般ピーポーは「着回し」という言葉に敏感だからね。←

キーラ・ナイトレイは貧乳で有名(自虐ネタにするくらい)のようですが、スレンダーだからこそできるコーディネイトでしょう。巨乳じゃスッキリ感がなくなってしまう。そして彼女は身長が170センチあるのでぺたんこ靴だろうが関係ない。はい、うらやましい。

身長はどうにもならないとして、摂生と運動で健康的に痩せようかなと考えるくらいには真似したいファッション。

ジェシー・アイゼンバーグは陰キャのカリスマ


まいど、こんばんは。

見出しにある「陰キャ」というのは、陰キャラ、つまり陽に対して陰。クラスにいてもあまり目立たず、学生時代は文化系の部活やサークルに所属しているような人のことをいいます。オタク気質のある人と言ってもいい(私もこちら側の人間です)。

決してみんなから愛される人気者ではないけれど、一芸に秀で、それに関しては並ぶ者のいない力を発揮する、というような役柄がこれでもかというほど似合うのがジェシー・アイゼンバーグ

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1984年生まれ、34歳(2018年2月現在)のアメリカの俳優です。陰キャのカリスマたる彼の作品をご紹介。



『ソーシャル・ネットワーク』(2010)

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彼は、フェイスブックの創業者、マーク・ザッカーバーグ役を演じて名前が知られるようになりました。天パの感じが絶妙に本物と似てる(ちなみに二人ともユダヤ系にルーツを持つみたいですが、ユダヤ系は○○バーグという苗字が多かったりするんでしょうか?)。

マーク・ザッカーバーグはまさに陰キャのカリスマでしょう。天才と言われる人たちは往々にして変人扱いされますから、まあ人気者ではない。友達も少数精鋭になりがち。劇中でも、彼はボート部に所属するエリート学生に反感を抱いており、スター気取りの人気者とは相容れない様子が窺えます。



『バットマンVSスーパーマン ジャスティスの誕生』(2016)

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ジェシー・アイゼンバーグといえば、よくもまあ噛まずにしゃべれるな、という高速のまくし立て口調が魅力でしょう。そこもオタクっぽさを醸しているポイントのひとつですが、私はこのしゃべり方が好きで好きでたまらない。その点、この作品のレックス・ルーサーは最高。

ペラペラと淀みなく軽口を言いながらも目の奥はまったく笑ってなかった。若干声が高めなのもまたくせになるのよ。レックス・ルーサーの出てくるシーンだけ何度でも観たい。ジャスティス・リーグ(2017)にも登場するらしいので早く観たい限りです。



『グランド・イリュージョン』(2013)

『グランド・イリュージョン 見破られたトリック』(2016)

グランド・イリュージョン1 Cinema with by柳下修平

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このシリーズではカリスママジシャン役でした。モテ男っぽい描写もありましたが、やっぱり陰キャ感は隠し切れてなかった。にじみ出てました。その要因はたぶんしゃべり方なんだろうな。安心した。そしてかっこよかった。

本編の内容に関しては、また別の機会におしゃべりしたいと思います。めちゃくちゃ豪華キャストだったからね。



『エージェント・ウルトラ』(2015)

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コンビニバイトの野暮ったい主人公は、ある日突然暴漢に襲われるも秒殺し、自分でもわけがわからず混乱します。だって体が勝手に動いたんだぜ!的な感じで、果たして主人公は何者かという作品です。

ジェシーが珍しくアクションをやっています。観る前はコメディかなと思ってたんですが、割と真面目なやつだった。もちろんコメディ要素もあって、観客には「いや、ありえないでしょ!」とツッコんでほしいんだろうなというシーンも盛りだくさんでした。ホームセンターでのバトルというのは新しいと思います。

恋人役のクリステン・スチュワートとは他にも『カフェ・ソサエティ』(2016)『アドベンチャーランドへようこそ』(2009)で共演しています。そしていずれも恋愛関係にある役柄。陰キャのジェシーに対してクリステンが明らかにカースト上位系女子なのがおもしろくないですか?



彼は基本的に冴えない役が多いわけですが、たぶん実際はかなりかっこいいと思うんですよ。だってこれだもん。

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明らかにオフのゆるさ。そして穏やかさ。安心するかっこよさでしょ。君は陰キャの味方だ。

池松壮亮にはもっといろいろやってほしい


まいど、こんにちは。

平昌五輪男子スノーボードハーフパイプ、すごすぎた。しっかりと実力分のパフォーマンスを見せた平野くんはあっぱれですよ。ただショーン・ホワイトが神憑ってた。大一番で自己最高のものが出せるってやっぱりとんでもないと思う。強すぎるね。


さて、熱戦が続く平昌五輪にも注目しつつ、本日はこの方について。


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2013年頃から突如脱ぐ俳優として台頭した池松壮亮。

近年は『愛の渦』(2013)『紙の月』(2014)『海を感じる時』(2014)『無伴奏』(2016)『裏切りの街』(2016)など、人妻と不倫する若者、ヒモ、クズ、そんな感じの役を中心にやっています。ボサボサの髪に無精髭を生やし、チェックシャツ来てるか裸か、そんなんばっかりですよ。暗い部屋でたばこ吸ってるシーンは必ずあるから。←

今でこそダメンズ専門役者みたいになっているものの、演技力があるのは間違いないです。10代の頃は爽やかな少年役が多かった。あっちゃんこと前田敦子がロボット役をやって話題になったドラマ『Q10』(2010)にも出ていました。

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佐藤健演じる主人公の友達で、心臓に持病があり、明るいけど少し影のある高校生の役でした。出演シーンはあまり多くありませんでしたが、正直、生徒の中では誰よりも演技うまかった。ものすごく自然だった。普通の何でもない役をやるのが一番演技力が試されるものですよ。

演技力が評価されてるのに、なせ同じような役ばかりやるのか。もったいない。もっといろんな役を見てみたい。関係者各位にはもっと池松壮亮の有効的な使い方を考えていただきたい。

だって、ドラマ・映画と続いた『MOZU』シリーズの殺し屋(新谷和彦/宏美)役は最高だったじゃないですか。ナース服着て吉田鋼太郎とバトるところとかね、みんなぞくぞくしたでしょ。


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これが、

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こう。

池松の狂気に満ちた目と消える鋼太郎おじさん。(このブログに鋼太郎おじさんが登場するのは二度目。一度目は「イーサン・ホークもモソモソしゃべる」にて)

しかし女装はびっくりするくらい似合ってなかったですね。不気味さを出すために「あえて」なのかよくわからないけど、どう見てももろ男なのに劇中で誰もツッコまないのがおもしろすぎた。

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そしてたまには住所不定無職みたいな男じゃなくて、ちゃんと社会的に地位のある男の役やってもいいと思う。超堅物で冗談の通じない面倒くさいやつとか、わかりやすくイケメンではないけどきっと整えたらかっこいいはずだからチャラい役をやらせてもおもしろい。

キムタクこと木村拓哉がピアニストになり、美容師になり(これは池松もやった)、検事になり、パイロットになり、アイスホッケー選手になり、レーサーになり、総理大臣になり、脳科学者になり、アンドロイドになり、医者になり、現在ボディーガードになっている世の中ですよ。池松にもいろいろやってもらいましょうよ。彼はキムタクとはまるでタイプが違うけど、演技力はピカイチですから何でもできるはず。

今年はすでに『万引き家族』『君が君で君だ』『散り椿』と3つの映画作品の公開が控えています。『万引き家族』ではセリフが極端に少ないけど存在感のある役、『君が君で君だ』では名前を捨てた男の役、あれ、ちょっと不安になってきた。

しかし『散り椿』は時代劇ということで、いつもと違ったテイストの池松が見られるのではないかとちょっと期待しています。

とりあえず脱ぐ役から一度脱却してみよう。

『ベイウォッチ』はちょうどいい


どうも、こんにちは。
平昌五輪、盛り上がってますね。個人的には男子スノーボードハーフパイプが激アツです。予選のレベルが高すぎて明日の決勝はどうなるのか期待感が募ります。

まだまだ寒い日が続いていますが、寒いと外に出るのも嫌で休日は家でごろごろ、ソファやベッドに寝転がってテレビ見てたらいつの間にか寝落ちてて一日無駄にした…なんていうのはあるあるですよね。

というわけで、五輪同様に寒さを吹き飛ばし、頭を使わずに観れて眠くならない作品をご紹介したいと思います。



ベイウォッチ(2017)

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海の安全を守るライフガード「ベイウォッチ(水難救助隊)」の活躍を描いた作品です。大人気テレビドラマシリーズのリメイク版ということで、設定ができあがっていてすごくわかりやすいです。

みんなから慕われるヒーローがいて、トラブルメーカーがいて、ちょっと応援したくなる気弱なやつがいて、それぞれと恋愛模様(?)を繰り広げるナイスバディの女性陣がいて、もう言うことなしでしょ。あとベイウォッチに何かと突っかかってくる地元の警察官もいい味出してる。

ジョークたっぷり、下ネタも多め、随所に溢れるアメリカ的なノリとお決まりの展開、とにかく細かいことを考えずに観られて楽しいです。スレンダー美女とマッチョマンの肉体美も大事な見所ですが、

それにしてもザ・ロックことドウェイン・ジョンソンの体はすごすぎない?

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プロレスラー時代に比べるとしぼんだと言われているみたいですが、まったく充分やろ。まさに岩のような御歳45とは思えぬ肉体。ハイスクール・ミュージカルで一躍有名になったザック・エフロンの肉体もキレッキレの仕上がりです(でもロック様と並ぶとどうしても小さく見えてしまうのが悲しいね)。劇中でミッチ(ドウェイン・ジョンソン)に「おい、ハイスクール・ミュージカル」と呼ばれるシーンがあるのも遊び心があっていい。

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女性陣はひたすら美しい。いやらしさとかまったくないの。むしろ惚れ惚れする。ずっと見ていたい。ガリガリじゃなくて筋肉のある健康的な細さなのがいい。小麦色の肌もすばらしい。芸術。拍手。

私は飛行機の中で鑑賞したのですが、飛行機の中って結構雑音があってうるさいし、画面も小さいので難しい話だと全然頭に入ってこないんですよね。でもベイウォッチは楽しめました。

飛行機の中で観るのにちょうどいい。暇つぶしにもちょうどいい。家から出たくないこの時期にもちょうどいい。一念発起して今夏に向けて体づくりを始めるのも悪くないかと思います。

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おっ、おちゃめ〜
ロック様かわいい〜。そしてえぐい角度のハイレグなのにやっぱりいやらしくない…!


白い砂浜、美女と野獣、キラキラのクラブシーン、ハリウッド映画に欠かせない爆発、ココナッツの日焼け止めの匂いがしてきそうなアメリカンな雰囲気、ぜひご堪能あれ。




ぶっちゃけちょっとカリビアンベイのCMを思い出したのはここだけの話。

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日本の劇場におけるIMAXの落とし穴


まいど、こんばんは。

最近「IMAX」という言葉をよく聞きますね。通常のシアターよりもスクリーンが大きくて高画質、音響もちょっと凝ってて臨場感たっぷりの映像体験ができる。それならいつもよりちょっと余計にお金出してもいいかな〜なんて、私も思っていました。恥ずかしながらつい最近まで。

先日ユナイテッド・シネマでいくつかの作品がIMAXリバイバル上映されるという情報を聞きつけ、いろいろ調べていたわけです。すると、出てくる出てくるIMAXに関する無慈悲な事実の数々。知らなかったの自分だけか…?と少々落ち込みました。

でもおそらくご存じない方も多いだろうと思ったので、私が受けた衝撃をわかりやすくお伝えできればと筆をとった次第です。じゃ、いくよ。



IMAXはそもそも映画用のものじゃないらしい

しょっぱなから「え?マジ?」な情報じゃないですか?

ウィキペディア先生によると「IMAXとは、カナダのIMAX社(アイマックス・コーポレーション)が開発した動画フィルムの規格及びその映写システム」で、もともとは万博などのイベント会場で使用されていたそうです。あくまでも私の推察ですが、特別な技術を駆使して、めちゃくちゃきれいでダイナミックな映像を特別に見せちゃうよ的な感じでしょう。

そんなIMAXに目をつけたのが、映画監督のあの方。クリストファー・ノーランです。IMAXカメラを使って長編映画を製作したのは彼が初めてで、世界に数台しかない超貴重・超高額なIMAXカメラを危険なアクションシーンの撮影にも用いて破壊した経歴すらある頭のおかしい監督(褒め言葉)。爆発的なヒットを記録した『バットマンシリーズ』『インターステラー』『ダンケルク』いずれもIMAXカメラを使って撮影しています。



IMAXカメラと一般的なデジタルカメラの違いとは

重要なのは、IMAXカメラはデジタルではなくアナログ、つまりフィルムを使うということ。そしてノーラン監督はCGの使用を極力避けることを信条とする映画界きってのアナログ派だということ。言うまでもなく、時代の主流はデジタルカメラ(35mmサイズ)での撮影です。対してノーラン監督はフィルムで撮影することに強くこだわり、65mmあるいは70mmサイズを用います。

私もにわかの知識なので詳しいことを突っ込まれるとうまく説明できないのですが、簡単に言うと両者の決定的な違いはアスペクト比と画質、この2点に表れると考えてよいと思います。


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上の画像は『ダンケルク』のワンシーンです。正方形にも近いフルサイズがIMAXカメラで撮影したもので、1.43:1というアスペクト比です。しかし、IMAXでない通常のスクリーンに映し出されるのは、赤い線で挟まれた中央部分のみ。こちらは2.40:1という比率で、画面の上下が大幅にカットされていることが一目瞭然です。

では、赤い線よりも気持ち大きめの黒い線で区切られた1.9:1というサイズは何なのか。衝撃の事実その2へ行きます。



日本にはIMAXフィルムシアターがない

はい、びっくり。かつては日本にもIMAXフィルムシアターがあったらしいのですが、すべて閉館してしまいました。現在、日本でIMAXと謳っているシアターのほとんどは「IMAXデジタルシアター」というものです。このシアターのスクリーンが1.9:1の比率なのです。

つまり、日本でIMAXと大々的に打ち出して上映している映像は、通常よりはややマシなものの、上下がカットされたなんちゃってIMAXだということになります。本来の1.43:1というアスペクト比で上映しているのは、大阪エキスポシティ(以下エキスポとする)ただ一カ所だけ。

しかも、エキスポもご多分に漏れずデジタルです。しつこいようですが、IMAXカメラはフィルムです。エキスポの「次世代レーザー」と呼ばれるシアターは、他のIMAXデジタルシアターよりは高画質だそうですが、やはりオリジナルと比べるとかなり程度が落ちる。つまり、どういうことか。

日本では、IMAXカメラで撮影された映像および映画作品を本来のクオリティで観ることができない。

騙された感がすごくない? 2000円以上出して通常よりほんのちょっといいだけの映像を観て「迫力がすごい」とか言ってたわけ? 絵に描いたようなアホか私は。



IMAXカメラで撮影されている作品は少ない

前述したように、IMAXカメラは台数が限られている上に非常に高価なので(フィルムも同様に高価)、莫大な製作費がなければ使用することができません。したがってIMAX上映されている作品でも、一般的なデジタルカメラで撮影したものをシアターのサイズに合わせて調整しているのです。

例えば、『亜人』(2017)を私はIMAXで鑑賞しました。

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見応えのある肉弾戦や銃撃戦などのアクションが詰め込まれていて、音楽もすごく臨場感がありました。邦画のアクションものとしては非常によい出来だったと思います。めちゃくちゃ楽しかった。ただ『亜人』は通常のデジタルカメラで撮影されていて、IMAX仕様にリマスタリングしたものを上映していました。

原点に戻りましょう。「IMAXとは、カナダのIMAX社(アイマックス・コーポレーション)が開発した動画フィルムの規格及びその映写システム」です。つまり『亜人』のような場合のIMAX上映は、普通の映像を編集・調整し、無理矢理IMAX風にしているということです。

むむむって感じですね。



IMAX上映の存在価値

日本だけでなく、世界的にIMAXフィルムシアターは数が減っているそうです。デジタルのほうが配給も上映もコストが抑えられるので当然といえば当然のことですが、レンタルDVDやネット配信での鑑賞が広く普及している今、IMAXフィルムシアターの存在は、劇場とそれ以外の場所での鑑賞を差別化する手段として有効だと思います。

日本では本物のIMAXが観られないことから、わざわざ海外の劇場へ足を運ぶ強者もいるようです。彼らはIMAXにそれだけの労力とお金をかける価値があると感じているのでしょう。

現在1.43:1の比率でIMAXが観られる劇場は(日本では)エキスポのみと前述しましたが、朗報があります。池袋に同様の設備を持つIMAXシアターの建設が予定されています。2019年開業を目指しているそうなのでまもなくですね。

フィルムより画質が劣るとはいえ、本来の映像比率でIMAXが観られるのは喜ばしいことです。この勢いで他の地域にも同様のシアターができることを願うばかりです(本当はフィルムシアターができてくれたら一番うれしいですが、それはちょっと難しいでしょう)


結論:日本でIMAXを観るなら大阪で(2019年以降は池袋も良し)。
単純に大画面で観られれば満足という場合は、その他のIMAXデジタルシアターでもよいかと。


以上、IMAXについての事実をお伝えいたしました。


そもそも日本は映画のチケット料金が高すぎる。欧米では6〜700円程度、お隣の韓国でも800円程度、インドでは300円くらいで観れるそうです(一番安いところでは30円とか)。日本でももっと安くなってほしい。

最初から最後までつらい


まいど、こんにちは。

つらいけど観てよかった、っていう映画、あると思います。もはや天津木村かっていうツッコミさえ通じなさそう。観終わった後に暗い気分にはなるけど、気持ち悪い感じでなく、不思議と余韻が長く残る。そんな作品を三つ選びました。奇しくも全て家族の話です。そしてタイトルが印象的でもあります。



チョコレートドーナツ(2012)

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ゲイのパートナーの二人が、育児放棄されたダウン症の少年を引き取って一緒に暮らし始める話です。血が繋がっていなくても、彼らは家族でした。深い愛情で繋がっていましたが、世間の無理解によって引き離されてしまいます。

予告やあらすじを見るだけでハッピーエンドじゃないのがわかりますから、そういう思いで鑑賞していると幸せなシーンも全部悲しくてつらい。私は全然涙もろいタイプじゃないのですが、この映画はのっけから鼻ずるずるしてました。

差別や偏見は、ほとんどが無知・無関心から来るものだと思います。この作品の登場人物もたぶんみんな悪意があるわけじゃないんです。差別している本人がそれを差別だと認識していないから余計に面倒なんですよね。なんでわかってくれないんだ!ってもどかしかった。

アラン・カミングはインパクトが強すぎて一度見ると忘れない。いろんな作品に出てると思ってたけど、私自身は彼の出演作は『バーレスク』とドラマ『Lの世界』しか観てませんでした。邦題は大成功だと思います。タイトルだけでせつねー。



たかが世界の終わり(2016)

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若い頃に家出したきり一度も帰っていなかった主人公のルイが、病気で余命わずかであることを家族に伝えるため、12年ぶりに故郷へ帰る話です。

一言でいうと、家族はつらいよ、な映画です。ルイの母と妹は、ルイが帰って来る前からしょうもない喧嘩をしています。家族って毎日毎日くだらないことで言い争いますね。あるあるすぎてうんざりした。いざルイが帰って来てもウェルカムモードは一瞬で終わり、以降ずっと重い雰囲気。

口もきかないほど最悪な仲でもなく、かといって笑顔が絶えない仲良しハッピーな家族でもなく、ただの世間話だったのにどこからか着火して、罵り合いに発展、みたいな家族ってたくさんあるんじゃないでしょうか。みんなどこか無理してて、ぎくしゃくしてる。

原作の邦題は『まさに世界の終わり』だったみたいですが、映画版で『たかが世界の終わり』としたのは本当にいい仕事だったと思います。「まさに」と「たかが」では意味が正反対ですから。前者は絶望感があるけど、後者なら「別に世界が終わるくらい、なんてことないじゃん」と思えます。しかしここでの「世界の終わり」は、ルイの人生が終わることを指しているのか、家族が壊れることを指しているのか、それとも両方でしょうか?

この作品は全編フランス語ですが、監督のクザヴィエ・ドランはケベック生まれのカナダ人だそう(ケベックはフランス語を公用語とするカナダの都市)。うむ。なかなか興味深いところですね。彼は近年話題の新進気鋭の監督ですからね、リサーチする必要がありそう……。

ところで個人的には、フランス語の罵り合いって「劇を観てる感」があっておもしろくなってしまいます。少しでもフランス語がわかればちょっと変わってくるでしょうか。



そこのみにて光輝く(2014)

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仕事中の事故のトラウマから逃れられず、仕事をやめて日がな飲み歩いている男と、家族の生活のために昼は水産加工場、夜は体を売って働く女が出会う話です。

原作よりも映画のほうがずっと苛酷な設定・展開になっています。特にヒロインの千夏の生活はかなり苦しい。寝たきりの父、仕事をしない母、傷害事件を起こして仮釈放中の弟、この三人を養わなきゃいけないわけですから、そりゃあ苦しい。一億総中流とか言われて久しく、最近は貧富格差が広がるばかりですから、こういう貧困家庭は決して珍しくはないと思います(体を売るっていうのは古典的な稼ぎ方だなと思うけど)。

たとえ貧しくても、自分自身のためとか、自分の愛する人(パートナーや子供)のためとかだったら、未来に希望や楽しみがあるからまだ耐えられる気がしますが、千夏の場合は、家族だから仕方なく責任を背負わされている感じで希望がない。

終始暗い展開の中で、観客が作品に潜在的に求める救いみたいなものの最低ラインをぎりぎりで超えるようなラストシーンは秀逸でした。苦しい時に頼りにできる人が近くにいるのといないのとでは天と地の差だなと。すごくにがいけど、すごくよかった。

映画に限らずドラマでも何でも、役者は一般人の役を演じることが多いわけですが、やっぱり芸能人は美人だし、男前だし、こんなやついねえよっていうの多いですよね。だからこの作品のように底辺に近い暮らしをしている一般人役をちゃんと演じられる役者は結構貴重かなと思います。綾野剛、池脇千鶴、菅田将暉、みんな骨太な演技してました。

リチャード・リンクレイター監督の『ビフォアシリーズ』について


まいど、こんばんは。

本日は、リチャード・リンクレイターの『ビフォアシリーズ』についてです。

たくさんの方が感想やレビューを書いている定番の作品ですが、やっぱりそれだけおもしろいということだと思います。私はイーサン・ホーク大好き芸人なので(過去記事参照→イーサン・ホークもモソモソしゃべる)彼が目当てで観ました。でもびっくり。すんげえおもしろかった。

ではまずこのシリーズについて簡単に説明します。シリーズは、以下の三作品から成ります。

ビフォア・サンライズ(1995)
ビフォア・サンセット(2004)
ビフォア・ミッドナイト(2013)

それぞれ9年を経て撮影・公開されていて、物語の中でも同じだけ時間が経過しています。つまり、一作目の『ビフォア・サンライズ』から三作目の『ビフォア・ミッドナイト』まで、登場人物も俳優自身も18年分歳をとっています。

一作目は、アメリカ人の男子学生ジェシー(イーサン・ホーク)と、フランス人の女子学生セリーヌ(ジュリー・デルピー)がヨーロッパを走る列車の中で出会って意気投合し、ウィーンで一緒に列車を降りて街を散策する話です。シリーズはこの二人の出会いから18年間の物語なのですが、映画はそれぞれ23歳、32歳、41歳の二人の半日(あるいはもっと短い時間)の出来事を描いています。

歩きながら、煙草を吸いながら、飲み物を飲みながら、二人がひたすら話すだけの会話劇です。たまにお店の店員などの第三者が会話に入ってきたりもします。ワンカットワンカットがものすごく長くて、実際に二人の男女の会話を端から見てる気分になるほど自然なのですが、なんと、シリーズを通してアドリブは一切ないとのこと。本当かよ。

イーサン・ホークとジュリー・デルピーは一作目から脚本の執筆に携わっていて、監督やスタッフと練りに練った会話をカメラの前で繰り広げているのです。たぶん彼らの実体験も盛り込まれていることでしょう。とにかくめちゃくちゃリアルです。



スマートな会話をする二人

一作目の『ビフォア・サンライズ』の中で、こんなシーンがあります。

レストランで互いの友人に電話で近況を話すという体で、それぞれが電話の相手役(つまり友人役)をやります。セリーヌはフランスにいる友人に電話をかける、その友人役をジェシーがやるという具合です。仲のよい友人と話しているという設定をいいことに、二人は自分の素直な気持ちを打ち明けます。二人がセルフで発している電話の呼び出し音が若干異なるのもおもしろいところ。英語とフランス語の習慣の違いですかね。

セリーヌはフランスの友人に電話している体なので、フランス語で話し出します。ジェシーはフランス語がほとんどできないため戸惑った表情を見せますが、自分はフランス人であるという設定を忘れませんでした。「私、最近英語を勉強してるから、英語で話さない?」とセリーヌに提案します。この機転の利かせ方はなかなかだと思いませんか。しかしセリーヌはお茶目やな。

ちなみに、このレストランの他のテーブルにいる客が「エゴン・シーレ」と言っているような気がする。エゴンはオーストリア出身の画家なので、あながち間違っていないと思うのですが、どうなんでしょうか。

ビフォア・サンライズ1

ジェシーは、フランス人だけど英語が上手なセリーヌと比べて、自分は英語しか話せないし低能だと思われるんじゃないかと不安だった、というようなことをこのシーンでこぼします。しかし二人の会話を聞いていると、ジェシーもきちんと学があって自分の意見を持っている人間だということがよくわかります。

一作目、二作目で二人が繰り広げる会話の内容は、政治問題、環境問題、死生観、宗教観、恋愛観、様々な国や民族の話、他にもこんな研究結果があるといった話など、多岐に渡ります。たくさんの知識をインプットし、取捨選択をして自分の考えとしてアウトプットしているように見えます。

また一作目では23歳の学生という立場の二人ですが、元カレや元カノの話題も出てくるし、それなりに恋愛を経験してきていることが窺えます。下ネタ的な会話をしていても下品な感じにならず、二人とも相手との距離の保ち方を心得ているようです。

ジェシーが一緒に列車を降りようとセリーヌを口説くところは慣れてんなあって感じだったし、セリーヌも上品な感じに見えて結構積極的です。あらそんなこと言っちゃう?みたいな発言が飛び出したりします。どちらか片方でも男女の付き合いに慣れてなかったら、あれだけ二人の距離が近づくことはなかったのではないでしょうか。



ナショナリティについて

二人は自分の生まれ育った国ではないところで外国人同士として出会いました。一作目の舞台はウィーン、二作目の舞台はパリ、三作目の舞台はギリシャ、毎回違った環境にいる二人は国際的な性格だと言えると思います。それを示すように、前述した通り、会話には様々な国や民族の話題が頻出します。

シリーズを通して、セリーヌは「フランス人はこういう傾向がある」「東欧はこういう感じだ」「アメリカではこうだ」というようなことを度々言っています。これは決して差別的なニュアンスはなく、単に国民性や国の特徴のようなものを指していると私は認識しました。

二作目の『ビフォア・サンセット』では、アメリカ人は感じがすごく良い、たとえそれが表面的なものであっても。というようなことを言っています。「How are you?」「Great! How are you?」「Great!」という一人劇を朗らかにやるセリーヌ。

これは本当によくわかる。私も二度ほどアメリカに行ったことがありますが、会う人会う人、必ず「How are you?」とか「How’s everything?」って聞いてきますし、セリーヌがやったような会話をするのが決まりきった挨拶なんですよね。

他にもセリーヌは、ニューヨークに住んでいた時に、警察官に「ここはフランスじゃないんだから、君も銃を持ったほうがいい。やばい奴にいつかこんな風に頭に銃を突きつけられる日が来るぞ」と言われてぞっとしたと話しています。これはセリーヌ役のジュリー・デルピーの実体験でしょうかね。ジュリーもニューヨーク大学に進学して以来、ずっとアメリカに住んでいるらしいので。

うろ覚えですが、一作目でセリーヌは「アメリカに帰ってから、フランス女と知り合ったって言いふらすのは勘弁してね」的なことを言っていたような気がします。こういった発言は、つまりセリーヌが自分はフランス人であることを誇りを持っている表れなのかなあと。一方のジェシーは自らこういった類いの話をすることがほぼないので、自分の出身にはさほどこだわりがなさそうです。



攻めるジェシーと受け手に回るセリーヌ

ジェシーはいつも自分の気持ちに素直で、それを行動に移してセリーヌに伝えようとしています。

列車の中で最初に声をかけたのも、一緒に列車を降りようと誘ったのも、再会する機会を永遠に失った二人がもう一度会えるようにきっかけを作ったのも、そして喧嘩が多くなり距離ができていく関係をどうにか修復しようと努力したのも、すべてジェシーでした。

セリーヌはとても賢くて自立した強い女性ですが、二人の関係においては常に受身だと言えます。恋愛で傷つくのが怖いというようなことは劇中のセリフでも言っています。つまりビフォアシリーズは、離れて行こうとするセリーヌをジェシーがいつも捕まえる話という感じでしょうか。

以下、ネタバレしますが、二作目は全体を通してそれがよく表れていたと思います。二人の再会が突然のものだったので、初めは互いに自分を取り繕って静かに挨拶したものの、会話を重ねて行くうちに隠していた気持ちが漏れ始めます。

再会した場所はセリーヌが住んでいるパリで、ジェシーはアメリカへ帰る飛行機の時刻が迫っているので空港に行かなければならないのですが、最初に決めた別れのタイムリミットを、もう少し、もう少し、と何度も延長します。そして結局セリーヌの家まで来てしまって、「飛行機乗り遅れるわよ」「わかってる」という会話でエンドロールを迎えます。なんてエモい会話。 ジェシーはセリーヌの手を離すことができないわけです。

しかしもし立場が反対だったら、つまりセリーヌがその場から立ち去らなければならない状況だったら、恋愛に関して保身的なセリーヌは去っていってしまいそう。いや、それこそ本当に、離れて行こうとするセリーヌをジェシーが捕まえる話になりますかね?でもそれじゃありきたりでつまらなくないですか?




ロマンチックな一作目はもちろんおもしろいし、それだけで完結していて完成度も高いです。でも現実に押しつぶされそうになりつつ踏ん張っている二作目、ロマンチックとはかけ離れてしまってもちゃんと愛がある三作目もおもしろいです。

個人的には、二作目の車内のシーンが切なすぎて泣いた。たぶん泣くようなシーンじゃないけど(びっくり)。二人があまりにもすれ違ってるもんだから。

2022年に四作目やらないかな。