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気晴らし細論

カテゴリー "ドラマ" の記事

拙者は流浪人 また流れるでござるな話 『オルタード・カーボン』


どうも、こんにちは。

Netflixから、大好物の近未来SFドラマ。



オルタード・カーボン(2018)

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科学技術の進化により人間の精神はデジタル化(DHF)され、頚椎に埋め込まれたスタックと呼ばれる装置に保存されるようになった未来の世界。犯罪者として捕縛されていたタケシ・コヴァッチは、ある大富豪の男によって釈放され、恩赦を得る代わりにその大富豪殺害事件の謎を解くことを命じられます。



世界観は『ブレードランナー』シリーズや、オープンワールドRPGの『サイバーパンク2077』にそっくり。ごちゃごちゃしたアジアの繁華街っぽいロケーション。なぜかいつも夜。そしていつも雨。こんなにどんよりした街ならそりゃあ犯罪も増えるだろう。科学技術が発達しているのなら天気を晴らす技術も開発したらどうか、というのが気になるところではありますが、心配ご無用。ちゃんと唯一無二のSF作品になっています。

この作品における設定の要は、何と言っても人間の精神と肉体が完全に別個のものとして切り離されていることです。先ほどスタックについては少し言及しましたが、スタックは1歳になった時点でみんな頚椎のあたりに埋め込まれるらしく(1話で言ってた)精神や自我を司るコアというかメモリーというか、そんな感じです。例えば心臓が止まって肉体が死んでも、スタックさえ損傷しなければ別の肉体にスタックを入れ替えることで同じ人格のまま生き続けることができます。

言うなればスタックがsimカードで、肉体はスマホ端末。このスマホ端末さながらの肉体のことはスリーヴと呼ばれ、金持ち連中は自分のDNAからクローンのスリーヴを作るなどしています。また、スタックが壊れて完全に死んでしまうことをRD(リアルデス)と言うのですが、金持ちは自分のスタックのバックアップを取っているのでRDすらすることなく半永久的に生きることが可能。

主人公であるタケシ・コヴァッチは250年間も捕まっていたため、もちろん釈放される時には元々の肉体とは別のスリーヴを与えられています。ていうかコヴァッチは過去軍人だったりテロリストだったりって感じなのですでに何度もスリーヴを交換済み。シーズン1の中だけでも3種の見た目のコヴァッチが登場。我々の世界ではある種の綺麗事に過ぎない「人は見た目によらない」という言葉が明白な真理となっています。目の前の人間が自分の知ってる人間かどうかわからない場合がある。男のスリーヴに女が入ってたり、おばちゃんのスリーヴに幼い女の子が入ってたり、久しぶりに再会した知人が別人になってるのが日常の世界。秩序が崩壊してないの奇跡じゃない?

さて、各種コヴァッチの中でも一応シーズン1のメインコヴァッチとなっているのがこちらの俳優さん。ヨエル・キナマン。

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この画像だけではわかりづらいですが、まず、でかい。そしてマッチョ。顔が小さく、肩幅が広いので、なんだかおかしなことになっている。頭身どうなってますかという驚異のスタイル。私は特段マッチョが好きとかではないのですけれども、ヨエル・キナマンの肉体には白旗です。はちきれんばかりの胸筋に自分でナイフ突き立てるシーンにはテンションぶち上がってしまった。もう、風船のように、ぱちんと弾けてしまいそうでした。確か5話だったと記憶しています。ヨエル・キナマンの肉体を堪能するなら、みなさん5話です。 間違えました。胸筋にナイフは4話でした。そして再三申し上げておりますように半永久的に生きることが可能なほど科学技術の進んでいる世界にも関わらず、どういうわけかマッチ擦って紙煙草を吸っている謎のアンバランスさがたまんない。

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傷だらけの、マッチョの、ナイスミドルに、こんなに渋く煙草を吸われたら、我々は一体どうすればいいのでしょう。このgif永遠に見ていられる。 極め付けにヨエル・キナマンverコヴァッチはものすごく気だるげな喋り方をするのです。アクションシーンはキレキレですが、その他では喋り方同様に非常にゆったりした動き。まるで体内で余裕を醸成しているかのごとく、全身から余裕を醸しているコヴァッチ。色気のフルコンボ。

ちなみにタケシ・コヴァッチというキャラクターは日系とスラヴ系のハーフという設定なので日本語を喋るシーンがほんの少しだけあり、レビューサイトで「日本語喋ってるコヴァッチは天龍源一郎」というコメントを見つけた時は笑いました。確かにダミ声だからね。わかる。



SFたるものネタバレしたらつまらないので、ストーリーについてはあまり言わないでおきます。というわけでストーリー以外でこの作品の良さを伝えるとしたら、"ちゃんと終わる"というところです。海外ドラマをよく観る方ならわかると思いますが、海外ドラマってシリーズ化するものが多くて、おまけにシーズンの区切りが雑になりがち。中途半端も中途半端。風呂敷広げっぱなし。一区切りつけようという気がまるでない。個人的にはそれがどうにも好かんのですけれども、『オルタード・カーボン』はちゃんと終わった。高評価。

あとは単純に大人向けよね。血が噴き出すグロシーンや、見てるこちらがもうよくね?となる長めの拷問シーンもあり。おまけに全裸俳優ことヴィゴ・モーテンセンも顔負けの勢いで男も女もみんなモロ出し。え、裸って隠さなきゃいけないの?というくらいに、むしろ隠すことが不自然なのではないか思えてくるほどに、まったくもって隠す気がない。(大御所全裸俳優についての詳細はこちら→ヴィゴ・モーテンセンはアウトローをやってもスマート 後編 『イースタン・プロミス』

肉体はいくらでも替えのきく消耗品という世界観のため、シーズン2からはまた別バージョンのコヴァッチになるそうです。ヨエル・キナマンを見れなくなるのは寂しいですが、次のコヴァッチはアンソニー・マッキー。期待を胸に、これよりシーズン2に突入したいと思います。

トランプに惑わされたらおしまい 『今際の国のアリス』


どうも、こんにちは。

本日は話題沸騰中のこちらのドラマ!



今際の国のアリス(2020)

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日がな家でゲームばかりしている無職のアリス(山﨑賢人)は、親友二人とともに繰り出した渋谷で謎の現象に巻き込まれます。突如、無人と化した渋谷の街で最初こそ解放感に浮かれる彼らでしたが、そこは夜毎開催される過酷なゲームをクリアしなければ生き残れない今際の国でした。



ストーリーとしては『カイジ』のゲーム性と『バトル・ロワイアル』の残虐性を混ぜたような感じでしょうか。図らずもドラマ後半で「考えろ、考えるんだ」「なんでだよぉぉぉ!!!!!」みたいなことを言う山﨑賢人に藤原竜也パイセンの影がうっすら見えた気がしました。シーズン2で藤原達也パイセン出てきたりしない? あながちありえない話じゃないよね。そしてキャストのみなさまが次々と容赦なく死んでいく様は非常にハリウッド的で、これは地上波じゃやらないよねと思いました。Netflixでこそできる技。

さて、今際の国にトリップするまでは若者クズ三名様がひたすら己のクズさをさらけ出すいわゆるプロローグなわけですが、さすがクズなだけあって、なんていうか、物事を理解する反射神経が鈍すぎる。人っ子一人いない渋谷の街を目の当たりにしてから、アリスが「マジかよ」という一言を発するまで約五分。随分と時間かかったな。お前がリアル世界ではまともに生きていけない理由が、もうわかった気がする。

正直一話はつまらなすぎてこれ大丈夫なんか? って思ってたんですけど、二話の鬼ごっこatマンションが始まったあたりで一変。今際の国で開催されるゲームは、毎回必ずトランプのカードによって難易度と性質が提示されることが判明。トランプの数字は難易度を、マークは性質を表しています。クラブはチームプレイ、スペードは体力勝負、ダイヤは頭脳勝負、ハートは心理戦。

おうおう、俄然興味がわいてきたぞ。

結局最終話までイッキ見したのでドラマがおもしろかったことは間違いないのですが、この”トランプのマークによる性質分け”なるものが果たして本当に適切だったのか、ドラマが進めば進むほど疑念が深まり、本日ここに記す運びとなりました。以下、ゲーム内容に関してネタバレがありますのでこれからドラマ見るよという方はご注意ください。では検証を始めます。



クラブの3のゲーム
アリスたちがわけもわからず参加した一番最初のゲームです。雑居ビルのワンフロアにて、部屋にある二つの扉のうちどちらかを選んで進み、最終的にビルの外に出られればクリア。不正解の部屋に入ってしまうと頭を撃ち抜かれて死亡します。クラブのゲームならプレイヤー同士が協力して正解を見つけるはずですが、実はこのゲームには必勝法があり、アリスの天才的な記憶力とひらめきによってクリアすることになります。性質的には紛れもなくダイヤ。仮に頭を使わずに完全運任せの二択ゲームとして進めるなら、プレイヤーの誰が扉を開けるかというハートのゲームなのでは? すでに一つ目で崩壊していたマークの法則。


スペードの5のゲーム
住宅街のマンション(というか団地?)の中でマシンガンを持った鬼から逃げつつ、一室だけ鍵の空いた部屋(じんち)を見つけてスイッチを押すことができればクリア。スペードなら体力勝負のはずですが、蓋を開けてみればアリスはみんなで協力して鬼の場所を教え合ってうまく逃げようと他プレイヤーに提案し、カルベはアグニとともに鬼退治を試み、最終的にじんちにたどり着いたのはアリスの冷静な分析によるもので、ゲームを終わらせるには二人以上のプレイヤーが協力する必要がありました。これはスペードというよりクラブだろう。


クラブの4のゲーム
トンネルの入口に停められたバスからスタートし、時間内にゴールにたどり着けばクリア。問題はゴールの場所がわからないことです。バスが燃料切れで動かないので走ってゴールに向かう御一行ですが、少し考えればバスから離れるのは得策ではないとわかるだろうに。だってさ、ゴールの場所が明確に示されてない以上、徒歩(走り)でゴールを目指すのは無謀だと思わん? 私なら最初から燃料調達してバスで移動してました。 途中でアリス自ら「こんなに走るならスペードのゲームだろ」みたいな愚痴をこぼしていましたが、それに気づけるなら最初からルールを疑えよ。これは強めにとんちの効いたゲームなので、どれかというとダイヤなのでは?


ダイヤの4のゲーム
壁に設置された三つのスイッチのうち、隣の部屋の電球に繋がっているのはどれかを当てればクリア。制限時間ギリギリまで粘ってアリスが何とかタネを見破りましたが、これは正直言って巷でよく見る問題です。私でもわかりました。こんな楽勝なゲームがビーチの幹部候補のテストなら私でも幹部になれました。 なぜゲーマーのはずのアリスがタネを知らなかったのか意味不明。一番最初のゲームのほうがよっぽど難しかったんですけど、どういうことでしょうか。



以上、ここまで検証でした。ハートのゲームに関しては概ね納得だったので特に取り上げませんでしたが、特にクラブの3と4のゲームは性質的にも難易度的にも全くもって不服。ということで調べてみたら、なんとこの二つのゲームは原作漫画とルールが違うみたいです。

なんで変えた?

改悪がすぎる。一番やっちゃだめなやつ。しかもね、ドラマの中では「クラブはチームプレイ」としか言われてないんだけど、原作では「クラブはバランス型。プレイヤー同士協力するとクリアに近づく」と説明されているらしい。どないやねん。それならクラブの4はまあまあ納得できるわ。



ちなみにカルベ役の町田啓太は金髪なんですけど、金髪はしぬほど似合ってないから『きみの瞳が問いかけている』(2020)は改めて黒髪で大正解だったわ(詳しくはこちら→リアリティを捨て去り、笑いを手に入れる 『きみの瞳が問いかけている』)。あれはマジありがとう。

たぶん令和ではないどこか別の時空 『私たちはどうかしている』


どうも、こんにちは。

最近自宅のネット環境が変わりまして、なぜかPCからだと記事のアップができず、スマホでちまちまやるしかなくて更新が滞っておりました。ただいま元の環境に戻そうと四苦八苦しております。こういうの、年1くらいで起きるんですけど、なんなんすかね。

さて本日の議題は、浜辺美波×横浜流星ダブル主演のいろんな意味で話題を集めていた日テレドラマ『私たちはどうかしている』です。原作が少女漫画ということもあってか、2話の時点ですでに若旦那(横浜流星)ルートに入ってる乙女ゲーみたいな本当にどうかしていたストーリーはさておき、老舗和菓子屋が舞台ということでかわいい着物がたくさん出てくるのを期待し、ただその一点のみで全8話視聴いたしました。いやあ、がんばった。令和の話で、着物の衣装がたくさん登場する連ドラなんてなかなかありませんので。まあ終盤は展開のトンチキ具合に疲弊し、スクショする気力も失せてほとんど保存できていないんですけれども。

そんなわけで着物に注目するあまり、どうにも気になってしまったことがあります。天涯孤独、ほぼ身一つで老舗和菓子屋に乗り込んできたはずの和菓子職人の主人公(浜辺美波)が何着も違う着物を着てるのが解せぬ。主人公は荷物が少ないと1話でも2話でも言われていました。和菓子を作る道具と数着の着替え(洋服)しか持ってきてないように見えます。しかし序盤から着物を着ているシーンが複数あるのは一体どういうことなのか。

老舗和菓子屋を営む高月家には若い女性がいないので主人公が着るような着物があるとは思えないし、あったとしてもあの意地の悪い女将が貸すかな。何より、主人公が序盤で着てる着物は高月家の人たちの着物と比べると明らかに安物に見えます。だから絶対に主人公が持参したものなんだけど、そうなると何着もあるのがやっぱりおかしい。

いや、わかったぞ。これはフリだな。見かねた若旦那が「光月庵の若女将になる者がそんな安物を着るな」とか言っちゃって、良い着物をいくつか仕立ててあげるシーンに至るわけね。オーライ、オーライ。と思っていたのにそんなシーンは待てど暮らせど、ない。店のお得意様には呉服屋の人もいて、しかも結構序盤に登場してきてたのに、これでもかというほどお膳立てされているのに、一瞬たりとも着物に言及されないのは本当にどうかしている。

証拠の呉服屋はこちらです。

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黒地に鞠柄の帯は、とてもかわいい。それは認める。



気になることはまだあります。寝巻きが、浴衣。

いくら代々続く老舗和菓子屋とはいえ、二十歳そこそこの跡取り息子の寝間着が浴衣とは、一体どんなご家庭ですか。そして枕元には行灯風の明かりという徹底ぶり。主人公も浴衣を寝巻きにしてたけど、あれはさすがに女将or若旦那から与えられたものに違いない。もしあれが持参したものだとしたら、どこぞの旅館からパクってきたとしか思えない。

しかし、おかげで今をときめく若い2人による完全和スタイルat実家の艶っぽいシーンが実現したわけですから、ここはひとつ目をつぶってやるべきなのでしょうか。今日び、和室に敷布団に浴衣のそんなシーンなんぞ旅館に泊まりに来た設定でしか見ませんけど、実家のお屋敷となると格別に淫猥ですね。だって相当広いとはいえ、敷地内に家族や従業員もともに暮らしているわけですから。実際、若夫婦が朝方に腕枕してるところを女将が瞳孔かっぴらいて見てましたから。

そもそも論を言うと、身につけるものだけでなく生活様式が少なくとも半世紀は遡っている。お屋敷の中には電話室なるものもあって、律儀に黒電話でお得意様に連絡する女将。もう、あれか。実は令和じゃないのか。そうなるとお屋敷のトイレは和式かもしれないね。むしろそうあってくれ。

では最後に私がかわいいと思った着物の画像をまとめて載せておさらば。

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パステルカラーの縞柄の帯、かわいい。



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永谷園さながらの太縞の着物、かわいい。



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当て馬みたいな役どころだった岸井ゆきの。赤地に花柄の小紋、かわいい。





他にもかわいい着物の衣装はたくさんあるのですが、ドラマの公式HPに全部まとめてUPされてるので気になる方はそちらをチェックしてください(力尽きた)。

仕事に自信を失ってグラグラになった伊吹を志摩が奮い立たせる9話 『MIU404』


どうも、こんにちは。

前回、綾野剛についての記事を書きました。おかげさまで数年ぶりに自分の中で綾野剛フィーバーが起きて困っています。というわけで本日は前回も少々お話しした『MIU404』についてです。

綾野剛演じる伊吹と星野源演じる志摩のバディは性格が正反対な凸凹コンビだとか、いつも暴走しがちな狂犬伊吹の手綱を握る志摩だとか、そんな風に説明されてるのをよく目にするのですが、それについて物申したい。なお、あらすじから説明し始めたらとんでもなく長文になってしまうので、割愛させていただきます。本記事はドラマ視聴中の方向けです。

先日8月21日に放送された第9話が激アツだったわけなんですが、劇中で何度も繰り返された「間に合う」「間に合わない」「間に合った」「間に合わなかった」というフレーズは、全視聴者が注目したキーワードだったのではないでしょうか。前回の8話までで、伊吹も志摩も身近な人の暴走を止められなかった、助けられなかった、という似た経験をしました。もっと早く気づけたら、自分が何か行動を起こしていたら助けることができたかもしれないのに、と後悔してもしきれない深い傷を負いました。しかし両者にはそれを経験した時期の違いと、それによる9話時点での心境の違いがあります。

まず志摩の場合。6年前、捜査一課にいた志摩は相棒を亡くし、自分が彼を自殺に追い込んだのではないかと長年自責の念にかられていました。しかし伊吹のおかげで元相棒の死の真相が判明して、不慮の事故だったとわかりました。また、1話での伊吹の「機捜っていいよな。誰かが最悪の事態になる前に止められる」という言葉に感動したと話したり、機捜の仕事に希望を見出してかなり前向きになっています。

一方の伊吹はというと、先述した通り1話では機捜の仕事が楽しくて仕方ない様子でした。しかし8話では警察官を目指すきっかけを与えてくれた恩師が殺人を犯して逮捕されるという現実に直面します。尊敬し、目標としていた人が道を踏み外した。自分はそれを止められなかった。そのことに伊吹はショックを受けてグラグラになっています。仮にこのまま定年まで勤め上げたとして、救えた人の数より救えなかった人のほうが遥かに多いのではないか、と志摩に問いかけます。果たして次は間に合うのか、人が堕ちる前にその手を掴めるのか。

伊吹「止められるかな」
志摩「止められるよ」

伊吹「間に合うかな」
志摩「間に合う」

2人の会話から、伊吹が不安で揺れていることがわかります。そしてこの後2人とも「間に合う」とまるで自分たちに言い聞かせるように何度も唱え続けます。間に合わなかった時の絶望はもう味わいたくない。次は間に合うと信じたい。自分の仕事(機捜の仕事)に自信を失いかけてる伊吹を志摩が必死に奮い立たせる。似た経験をした者として。9話は終始そんな構図で動いています。

また、伊吹が仕事に自信をなくしていることは他の場面でも窺えます。闇社会の男に追われ、2年間身を隠す生活を続けているハムちゃんこと羽野麦(黒川智花)の「機捜のみんなが守ってる街だね」という言葉を聞いた時、伊吹から笑顔が消えました。

かつて相棒を事故で失ったことも、心の底から尊敬してた恩師が罪を犯したことも、確かにつらいことだけど結局は自分ではなく他人のことじゃないですか。でも仕事となると違う。仕事って毎日の生活に直結するものだし、警察官なんていうのは好きでなおかつ誇りを持ってないとできないでしょう。伊吹も志摩も30代後半ですでに警察官として10年以上(20年近く)勤め、中堅どころになっています。つまり仕事に自信を失うことは自分の人生に関わってくる死活問題なわけよ。

特に伊吹は奥多摩の交番勤めという名の左遷期間が長らく続き、やっと都心に来て初めての大仕事をしてるし、刑事である恩師に憧れて警察官になって、やっと少し近づけたと思ったらその憧れの恩師は罪を犯してしまった。もう機捜の仕事にすがるしかないのに、その機捜の仕事に自信を失ったら、もうどうすればいいのかわかんないじゃん。

先の「機捜のみんなが守ってる街だね」の場面で、ハムちゃんはこんなことも言っています。

「全部表ならいいのにね。表の世界だけ。悪い人が捕まって、がんばったら報われて、正しいことをした人が後悔しないで済む世界」

そんなことは無理だってきっとみんなわかってる。理屈で考えれば当然のことのはずなのに、絶対に実現しない夢物語だって、これを言った張本人のハムちゃんもたぶんわかってる。でもだからこそ願わずにはいられない。伊吹も志摩も理不尽なことはたくさん見てきてるし自分で経験もしてるから、理不尽に直面してもいちいち子どもみたいに泣き喚いたりしない(ただし伊吹にとって恩師の件はその限りではない)。2話の加々見にも、4話の青池さんにも、5話のマイちゃんや水森にも、同情はしても激しく動揺することはなかった。

だからね、ハムちゃんが拉致られた時に2人が猛烈に焦って、怒って、そしてハムちゃんを助けることができた時には泣きそうなほど安堵してたのは、ハムちゃんが死なないこと、生きて自由の身になること、それが2人にとって譲れない最後の一線だったからだと思います。理不尽な世の中にあっても、ハムちゃんだけは失えない。2人にとってハムちゃんが近しい人だったことももちろん関係あるけど、何も悪いことをしていないハムちゃんまで死んでしまったら、そんな理不尽に屈してしまったら、たぶん2人は本当に機捜の仕事に意味を見出せなくなる。警察官としての自負も、自分の信念や人生すらも失ってしまう。

ハムちゃんを2人で抱きしめながら、「間に合った」って言い合うところは

志摩「間に合った!(ほら、だから間に合うって言ったろ!)」
伊吹「間に合った……(本当だね、間に合ってよかった)」

って雰囲気だったので、やっぱり志摩が伊吹に自信を取り戻させてやると同時に、志摩もまた自分の自信を確固なものにしていくって感じだったよね。

では結論です。伊吹と志摩は正反対じゃないと私は声を大にして言いたい。2人は案外似てるところが多い。志摩にも無茶しがちなところはあって、伊吹も感情が高ぶってない時は冷静な行動ができる(志摩のしつけのおかげか)。しかし何にせよ久々に走ってる伊吹が見れたし、窓枠に足をかけずにそのまま飛び降りるボーナスラウンドまで付いてたので最高。ちなみに志摩が本当に冷静でまともな人間だったら、伊吹を追って自分も窓から飛び降りるなんてしないでしょ。





吹き荒れる綾野剛フィーバーの現状ですが、『亜人』(2017)とかさ、公開初日に観に行ったし、DVDが出た後も借りて観てたのに、Netflixで観れるのをいいことに主役の佐藤健を早送りして綾野剛の戦闘シーンだけ観まくっています。なにこれ病気?

『仮面ライダービルド』がアダルトすぎる話


どうも、こんにちは。

手前味噌なのですけれども、自分ほどいろんなジャンルの知識がある人間はいないのではないかと思う今日この頃です。映画はもちろん、小説・漫画・ゲームは王道のやつならわかる、日本史・世界史ともに結構わかる、スポーツ観戦も好き、KPOPも好き、ジャニーズもかじり始めた、ファッションもおしゃれかどうかは別にして関心はある。疎いのはディズニープリンセスとアニメとバンド音楽と日本の地理。それ以外の話なら大体ついていける自信がある。友達が少ないのでね、昔から暇を持て余してきたから一人遊びが得意なんですよ。

そんな私が少し前から手を出し始めた新ジャンル。それは仮面ライダー。

生まれてこのかた一度も戦隊モノを観たことがなかった自分が今になってなぜ? と思ったし、ついに来るところまで来た感じはある。うまく説明できないけどなんかそろそろやべえなって自覚はある。

きっかけは犬飼貴丈という若手俳優でございました。存じ上げてはいたけれどそんなにお顔が好きではなかったので(失礼)スルーしていたのですが、しかしあるバラエティ番組で年齢のわりに落ち着いた雰囲気と、非常に賢そうな物言いをするのを目撃し、何の気なしに犬飼くんをググってみたら『仮面ライダービルド』の主役を務めていたことが判明したというわけです。ちなみに下の名前ですが、貴丈で「あつひろ」って読むんですよ。くそかっこよくないか。どうでもいい。

そんなわけでうっかり覗いてしまった『仮面ライダービルド』の世界。あらすじを数行読んだだけでも "核兵器をめぐって日本列島が分裂する争いが起きる" "主人公が人体実験に巻き込まれている" とすでにただならぬ様相を呈しています。その他、冤罪、脱獄、記憶の改ざん、軍事利用、およそ子供向け作品とは思えぬ不穏な単語のオンパレード。

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仮面ライダーなめてたわ。いたいけな少年が仲間と一緒に怪人と戦うだけの話だと思ってた。そもそもビルドの主人公は少年じゃないので前提から間違ってた。犬飼くん演じる主人公・桐生戦兎は26歳の物理学者……。果たしてこの複雑な世界観をちびっこたちは理解できるのか、気になって気になって仕方がなくなりついにレンタルDVDを手に取る。

実際に観てみると、戦闘シーンはゴリゴリに子供騙しだし他にもところどころ子供っぽい演出があるのは確かだけど、ストーリーは激重。子供と一緒に観るパパやママのほうがハマっちゃうのも納得。もはや『名探偵コナン』と同じ匂いを感じる。ライダーとコナンは同じカテゴリー。私はただいまDVDのvol8まで観終わったんですが、次のvol9がなぜかいつも貸出中で全然先に進めません。借りパクしてるの誰だよ。

当方、仮面ライダー若葉マークのため浅い知識になりますが、ビルドは歴代ライダーシリーズの中でも特にダークな世界観の作品らしく、それに比例するようにライダーたちの年齢が全体的に高いのが特徴です。ビルドに登場するライダーの中で一番若いのが犬飼くん(当時23→24歳)なのです。公式でYouTubeに上がっている出演者による座談会動画、ライダーの4人(犬飼、赤楚、武田、水上)が並んだ時のアダルト感がものすごい。


犬飼くんが堂々としすぎてて10歳近く年上の武田・水上を平気でイジるので、穏やかにニコニコしている赤楚くんが一番年下に見えます。ちなみに犬飼くんは一応ひとつ年上の赤楚くんのことを「赤楚」と呼び捨てにしているそうです。

そして対象年齢を完全に間違えた問題の箇所が、サムネイルにもある11:50〜の愛のささやきコーナーです。MCからファンの方へ愛のささやきをお願いします、と言われて1人ずつコメントを撮るのですが、愛のささやきってつまり「いつもありがとう。愛してるよ(ウィンク)」みたいなの想像するじゃないですか。違います。

犬飼「最近寒くなってきたけど、僕、平熱高いから湯たんぽにどうっすか?」
赤楚「(自分の肩を触りながら)ねえねえ、揉んで?」
武田「僕のじゃがいも、すりつぶして食べて?」
水上「隣のホテルで朝まで語り明かそうか」


なんでだよ。


水上さんのセリフは実際に劇中で使われてるネタセリフなので、これを引用するのはわかる。武田さんのセリフも、役がじゃがいも農家の設定なのでわからなくもないが「すりつぶして食べて」はどう考えても悪意があるし、赤楚くんも絶対狙ってるだろ。

そして一番の問題は犬飼くんなんだ。犬飼くんは桐生戦兎、葛城巧、佐藤太郎という1人3役(エボルト憑依も入れると4役)をやっている関係で、「佐藤太郎バージョンでも愛のささやきお願いします」と要求されます。ちなみにさっきのは桐生戦兎バージョン。で、佐藤太郎バージョン。


「夜は(ピーーーーー)っしょー!!!」


まさかのピー規制。他3人、大ウケ。佐藤太郎はEXITのようなポンポンポーンなバンドマンキャラで、劇中でも「夜は焼肉っしょー!!!」という名セリフ(?)残しているのでそれにちなんだものなのはわかるのですが、一応子供向け作品だってこと忘れてるだろ。犬飼くんはきれいなお顔に似合わず平然と下ネタぶっこんでくるタイプの人だというのが最近わかってきました。あと関西出身だそうで、たまに抑えきれず方言が出ている時とかぐっときます(何の話?)。

しかしここまでライダー4人の認識がアダルト方面で一致していることを考えると、企画側も愛のささやきってそういうの求めてたのかな? という思いがよぎります。でも『仮面ライダービルド』の次期シリーズにあたる『仮面ライダージオウ』のライダーたちによる座談会も見てみたところ、同様の愛のささやきコーナーにおけるジオウライダーたちのコメントは「いつもありがとう。愛してるよ(ウィンク)」パターンだったので、やっぱりビルドの人たちがおかしいんだなと確信しました。私は正常だった。まあ、ジオウライダーは若くて女の子もいるのが大きいかなとは思います。

そんなわけでビルドの次はジオウも観る気満々です。