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気晴らし細論

惚れた女には弱いし、マムシには勝てない 『MUD -マッド-』


どうも、こんにちは。

本日ご紹介するのは、ほろ苦いジュブナイル映画でございます。



MUD -マッド-(2012)

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アメリカ・アーカンソー州の川辺に暮らす14歳のエリス(タイ・シェリダン)は、ある日、親友ネックボーン(ジェイコブ・ロフランド)とミシシッピ川に浮かぶ小さな島へ出かけます。そこでマッド(マシュー・マコノヒー)と名乗る怪しげな男に出会った2人は、わけあって島に身を隠しているというマッドを訝しみながらも彼に協力するようになります。


マコ兄ことマシュー・マコノヒー演じるマッドは子供の頃にヘビに噛まれて瀕死のところを助けられたのをきっかけに、幼馴染のジュニパー(リース・ウィザースプーン)に思いを寄せ続けています。程よく日焼けした男前の顔に、マイアミあたりのサーファーに大量にいそうなウェーブのかかった金髪、NHKの筋肉体操出れるんちゃうかという筋骨隆々な肉体、それでいて幼馴染のためにアホみたいに尽くしまくる一途さ。良くも悪くも少年のまま大人になった男ということで、きっとマコ兄の熱烈ファンのお姉様方のツボを刺激しまくっていることでしょう。

そんなわけでマッドが主人公とされているのですが、本作の主人公はエリスだと私は思います。タイトルの名前のキャラクターが主人公でなくてもいいじゃないか。『もののけ姫』(1997)の主人公だってアシタカじゃないか(出た)。14歳の少年2人が40がらみのわけありげなワイルド男(ただし心は少年)と知り合って、スリリングな数日を過ごす話なのだから。

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美少年とまではいかないけど、なかなか爽やかな顔立ちをしているエリスくん。どこかで見た覚えのある顔だな、と記憶を辿ってみると、『レディ・プレイヤー1』(2018)の主人公だと判明。

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あっ、ちょっとゴツめに成長したのね。

このタイ・シェリダンの演技が抜群に良いです。父親が運転するトラックの荷台で風に吹かれているシーンなどでは何かを悟ったような表情をしてるくせに、行動がたまに迂闊だったり、永遠の愛を信じていたりするところに少年性が残っています。抜群の演技力で銀幕に現れた子役のゴツめの成長は、『誰も知らない』(2004)でカンヌ国際映画祭男優賞を受賞した柳楽優弥のよう。

そしてエリスの親友ネックボーン役のジェイコブ・ロフランドもよかったです。彼は『スタンド・バイ・ミー』(1986)でリヴァー・フェニックスが演じたクリスにビジュアルがよく似ていました。本作が現代版『スタンド・バイ・ミー』とか言われてるのはちょっとそんなところも関係しているのでしょうか。

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タイ・シェリダンとは反対に、ジェイコブ・ロフランドは虚弱な感じに成長してる。

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さて、マッドは島に身を隠してるのに少年2人があまりに何度も島を訪れるのはちょっと不用心じゃないかとか、マッドを追ってる男たちが雑魚すぎないかとか、幼馴染のジュニパーも何を考えてるのかよくわからないなとか、話の展開としてはいろいろツッコミどころがあるのですが、まあジュブナイルものだし大目に見るのが正解かなと思います。

序盤に描写される沼にうごめくマムシと、九死に一生を得た経験からマッドが右腕に入れているヘビのタトゥー。伏線になる予感はビシビシと来ています。そしてマムシのおかげで停滞していた人間関係が動くと同時に物語も動くので、結局のところマムシが最強です。そういう話です。



最後に、本作に出てくる男たちは大人も子供も揃いも揃って女を見る目がなく、いわゆるビッチ的な女子に翻弄されているので、アメリカの詩人オグデン・ナッシュの言葉は言い得て妙ですね。

「眼鏡をかけた少女には男が寄ってこない。でも乳母車が似合うのはそういう地味な女の子」


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